ドキュメンタリー監督・竹内亮氏が製作した、江蘇省南京市の新型コロナウイルス感染対策を紹介したドキュメンタリー動画「緊急ルポ 新規感染者ゼロの街 新型コロナ封じ込め徹底する中国・南京を歩く」が海外でも大きな反響を呼んでいる。海外のネットユーザーらは、「学ぶことがあった」、「いい作品」などの声を寄せており、ドイツ語版や韓国版も作成してほしいというリクエストも挙がっている。
今月17日の時点で、南京の新型コロナウイルスの新規感染者は28日連続でゼロだ。その28日の間も、南京の市民は全く気を緩めることなく防疫対策を実施した。そのノウハウを見た海外のネットユーザーは、興味津々で、とても賢い方法だと驚いている。
スーパーに行っても、公共バスに乗っても体温チェックされる。エレベーターに乗ると、ボタンを押すためにティッシュペーパーが用意されている。車を運転して団地に着くと、完全に封鎖されており、しばらく走ってやっと開いている入り口を発見。聞いてみると、その団地内で感染が確認された患者が以前に出たと告げられた。
これらは一見、ちょっとした事に思えるかもしれないが、実際に実行するとなるととても面倒で、たくさんの人とコストを投入しなければならず、一般市民一人ひとりが普段と違うことをし、便利な生活や自由、趣味などを犠牲にしなければならない。それらに払われている努力と犠牲を忘れてはいけない。
竹内氏は南京在住の日本人で、南京大学で中国語を学び、長年南京で暮らしているため、中国語を流暢に話すことができる。彼が製作したドキュメンタリーシリーズ「私がここに住む理由」は、中国のコミュニティサイト「豆瓣」でレビューが9.3ポイントと、高い評価を受けている。
新型コロナウイルス感染が発生して以降、竹内氏は、「緊急ルポ 新規感染者ゼロの街 新型コロナ封じ込め徹底する中国・南京を歩く」のほかに、関連のショート動画を7作品製作した。長さが数分だけの作品もあり、ドキュメンタリー作品と呼べるほどではないものの、実際に起きていることに積極的に注目し、それを伝えている。そして、視聴者にいろんな「ここに住む理由」を伝えている。
「私がここに住む理由」の76、77話に湖北省武漢市でカレー屋を経営する島田孝治さんが登場する。島田さんは、日本に帰らない理由について、「まだ武漢で普通に生活ができるし、自分は武漢人だと思っている。日本に帰る必要もないし、たいへんな時も、楽しい時も、武漢の人たちと一緒に過ごしたい」と説明する。
日本湖北総商会は、武漢市に寄贈する支援物資募集に取り組んでいる。中日両国で話題となった「豈曰無衣、與子同裳(豈に衣無しと曰い、子と裳を同じうせんや)」という漢詩は、同総商会に所属する湖北省出身の男性が物資に貼ったメッセージだ。日本で育った娘の自分に対する評価を聞いて、その男性は、「ありがとう。娘に褒められることはめったにない」と、口元を緩めた。