米議会下院が先ごろ行った新型コロナウイルス感染による肺炎に関する公聴会では、「こんな高額な費用では、人々は検査を受けるのを躊躇してしまう」という声や、「40%の米国人は400ドル(1ドルは約106.38円)の臨時出費がまかなえず、昨年だけでも33%の米国人が治療をあきらめたというのが現実だ」という声が聞かれた。こうした一連の発言は、米国の貧富の格差や、国民が医療保障を受けられないという現実を反映している。しかしこれらは氷山の一角でしかない。中国国務院新聞弁公室が発表した「2019年米国の人権侵犯報告書」が明らかにした多くの事実は、米国全体の豊かさと強さのベールの裏側に隠されているのは深刻な貧富の格差という冷酷な現実であることを人々に告げている。(人民日報「鐘声」国際論評)
米国は西側諸国のなかでも貧富の格差が最も深刻だ。米国勢調査局の統計データによると、過去50年間で、米国のジニ係数は着実に上昇し、2018年には最高の0.485にまで達した。JPモルガン社が発表した報告書によると、米国では、10%の最富裕層が世帯純資産全体の75%近くを所有しているという。また、連邦準備制度理事会(FRB)の報告書によると、1989年から2018年、1%の最富裕層の世帯資産がその総額に占める割合は23%から32%に増え、50%の最下層世帯の資産純成長はほぼゼロだった。米国の経済学者であるポール・クルーグマン氏は、「社会の最上層の所得は急増しているが、それは社会の最下層を圧迫して得ているところが大きい」と判断している。
米国の最下層の人々は寒々しい「落胆の谷」に身を置いており、米国政府は国民に対して重い借りがある。米国は国民総医療保険を実施していない数少ない先進国の一つだ。米国国勢調査局が昨年11月に発表した最新の統計によると、2018年、米国人2750万人が医療保険に加入していなかった。ギャラップ社の調査によると、米国では1500万人が高すぎる薬代のために処方薬の購入を遅らせざるを得ず、6500万人が高すぎる医療費のために病気になっても治療をあきらめていた。多くの米国人が、米国の健康安全ネットワークは新型コロナウイルス感染による肺炎の前ではひとたまりもなく、こうした苦境により感染がさらに拡大するのではないかと懸念している。
米国の貧富の格差は長期にわたって続いている趨勢であり、これは米国の政治制度と米国政府をはじめとする資本利益によって決定づけられている。国連の極度の貧困と人権に関する国連特別報告官であるフィリップ・アルストン氏は、「米国で極度の貧困が存在し続けていることは、実権掌握者の政治的選択だ」と指摘している。また、ある英国の学者は、「米国の貧富の格差が急激に拡大した根本的理由は、米国政府が実行している新自由主義政策体系、つまり私有化や市場化、自由化を核心とし、金持ちの利益を守っていることにある」と直言する。
米国がもし本当に人権問題を重要視しているのであれば、なぜ長期にわたって米国社会を悩ませる貧富の格差という長年の問題を取り除こうとしないのか?忘れてはいけない。一部の米国人があちらこちらで騒ぎ立て、道徳者ぶって他国の人権状況についてあれこれとあら探しをしている時に、米国社会の最下層の生活は貧富の格差の激化によりさらに苦しいものになった。米国国内でひたすら飢えに耐えている子供たちや、帰る家のない貧しい人、長い間患っているのに医者にかかることのできない患者がそこにいるというのに、一部の米国人はどんな顔をして自分たちはお手本だと自慢できるのか。世界は当然ながら米国を手本になどできないだろう。貧困の撲滅は、1人も残さず達成しなければならない。米国のいうところの「人権の番人」は責任をもってこの点を約束できるのだろうか?現時点で、彼らの心にそうした必ず成し遂げようとする志がないことは事実が物語っている。(編集AK)
「人民網日本語版」2020年3月16日