やましたひでこ氏の新刊「108件小事」。写真は広西科学技術出版社より
生活整理概念「断捨離」の提唱者であるやましたひでこ氏の新刊がこのほど、中国で発売された。やました氏は日本の心理カウンセラーであるおのころ心平氏との共著「大切なことはすべて日常のなかにある」(中国語版タイトルは「108件小事」)で、物や言葉などの面から108のヒントを示し、読者が日常生活のなかで気づきを得る力を持てるよう啓発している。中国新聞網が伝えた。
そして、この本の読書会がこのほど北京で行われた。整理に関する個人メディアを運営する周一妍さん、グルメブロガーの陳宇慧さんもそれぞれ「生活整理術」に関する考え方を披露し、日常の「生活哲学」を参加者と共有した。
周一妍さんは大学を卒業後、あるメディアに勤務していた。2013年、偶然「生活整理」に関する本を読み、その本に書かれている方法でクローゼットや本棚などを整理したところ、生活周りの雑多なものがなくなり、楽しく爽快な気持ちになったという。
「内に向かって整理をし、外に向かって探求する過程で、もっと理解を深めたいと思うようになった」という周さんは、さまざまなきっかけや偶然の出会いが重なって、趣味を同じくする仲間とともに「第1整理術」という微信(WeChat)公式アカウントを立ち上げた。そして、「2016年には、整理関係のブロガーを専門でやることにし、物を減らす知恵を強調した整理術を始めた」という。
周さんは、整理術と単に「部屋を片づける」のと大きな違いがあると考えている。周さんは、「部屋を片づけるのは家事労働で、物を収納するということ。整理が意味しているのは『取捨し、整える』ことで、古い物を手放し、新しい物を手に入れることを身につけなければならず、考え方の側面が大きい。整理ができる人であるほど、生活と仕事の効率も良く、考え方や伝え方も明瞭だと思う」と語った。
周さんはさらに、「整理をすることで、私たちの生活はすっきりし、きちんとした秩序あるものになる。この過程で、私たちは自分と物、空間、人との関係を絶えず探求し、人に対する価値観の面でも新たなヒントが得られるかもしれない」と語り、自分を例に挙げて、「私について言えば、消費観念が変わり、すぐに変わってしまうようなファストファッションには別れを告げて、自分のスタイルを表現できる物だけを買うようになった」と説明した。
周さんによると、次に、『整理』によって生活に対する観察力と審美眼が高まるという。周さんは、「私はインテリアの色合いや材質に注意するようになり、デザイナーの目線で自分の住まいを観察するようになった。絶えず『整理』し、絶えず『取捨』することで、常に変わり続ける自分でいられる」と語った。
また周さんは、「多くの日本の専業主婦たちは整理収納コンサルタントの資格を取ろうとしている。その目的は、家族の世話をすると同時に、もっと社会とつながり、誰かを助けるためだ。それに新たな収入源にもなる。日本では、整理収納コンサルタントの時給は地域によっても若干違うが、通常は4700円程度だ」と日本の状況を紹介した。
周さんは、「中国では、『整理師』は今後さらに広範な発展を遂げていくだろう。他にもさらに多くのスキルを持った整理関連の人材も出てくるかもしれない。例えば心理学の分かる整理師や、ゴミを出さない生活を提唱する整理師などだ」との見方を示し、「今後、中国の整理師は、比較的高い美学の素養と心理学の基礎を備えていることが必要になる。もし教育学を学んだことがあれば、さらにポイントが高い」と語った。(編集AK)
「人民網日本語版」2019年12月26日