北京と貴州省黔南プイ族ミャオ族自治州平塘県の山奥にある観測基地という仕事の面でも生活の面でもまったく環境が異なるその2つの場所を行き来する生活に甘恒謙さんはとっくに慣れたという。世界最大の電波望遠鏡・FASTの調整グループの副グループ長である甘さんは1年の3分の1を観測基地で過ごす。甘さんは2004年に国家天文台に就職して以降、中国で「天眼の父」と呼ばれている科学者でFASTのチーフエンジニアである故・南仁東氏の下で長年FASTに関わる業務を担当してきた。そんな甘さんは現在、FASTの調整において、望遠鏡の電気系統の運行やメンテナンスを担当している。人民日報が報じた。
専門家グループは4月22日、FASTのプロジェクトが技術検証をクリアし、その建設の過程で複数のイノベーションを実現したと認定。中国の関連の分野と産業の技術やイノベーション能力が向上し、中国の電波望遠鏡は、世界を追いかけ、追いつく立場から先頭に立つ立場へと変わったことを認めた。甘さんは、「自信にもなるし、とても興奮している。FASTのチームにとっては大きな励みとなった。技術検証をベースに、今後は、財務や関連文書の検証も行われる」と話す。
FASTが1日でも早く、良い成果を出すことができるようにと、FASTのチームはずっと黙々と努力を続けている。FAST観測基地の職員約100人は、山奥という不便で、孤独さえ感じる環境下で、必死に宇宙探査を続け、現時点で、パルサーの候補天体92個を発見し、65個のパルサーを実際に確認した。4月から、FASTは、中国国内の天文学者を対象に360時間観測できる観測の申し込みを受け入れる試みを始め、多くの申し込みの中から、科学的意義が大きい40の観測項目を選出した。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年5月9日