米国の電気自動車(EV)大手テスラモーターズ、上海市臨港地区開発建設管理委員会、臨港集団はこのほど、EVプロジェクトの投資合意に調印した。合意に基づき、テスラは臨港地区に単独出資による研究開発、生産、販売など諸機能を一体化した大規模工場「ギガファクトリー」を建設し、年間50万台のEVを生産する計画で、実現すれば上海の歴史始まって以来最大の外資による製造業プロジェクトになる。世論では、上海は今回の協力の最大の受益者になるとされているが、実際にはテスラこそ真の最大の受益者だといえる。「経済日報」が伝えた。
米国の高級EVメーカーの代表といえるテスラは、その誕生から大勢のファンを獲得してきた。創業者で最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏が行くところでは、常にテスラ旋風を巻き起こしてきた。だが高い人気とは裏腹に、企業としてのテスラは長らく赤字の泥沼でもがいていた。
テスラの中国進出のニュースが、人々のテスラに対する悲観的な見方を瞬く間に変化させた。テスラの昨年の世界販売量は10万3千台で、うち中国が1万4900台と15%を占め、中国はテスラにとって最大の海外市場になった。中国は世界最大の自動車生産販売市場であり、特に新エネルギーは毎年倍増しており、テスラの中国国産化が実現すれば、販売量が飛躍的に増加することが期待される。今、テスラの中国へのニーズと中国のテスラへのニーズを比較すると、テスラの方が「命綱」として中国市場をより必要としている。よって今回の協力の最大の受益者がテスラだとする見方は、決して唐突なものではない。
実際、中国から利益を得ている米国自動車メーカーはテスラ1社にとどまらない。クライスラーと北汽集団との初の合弁会社の北京ジープから、今回のステラの中国進出に至るまで、米メーカーは中国市場で莫大な利益を得てきた。合弁会社6社の中国側親会社が提供したデータをみると、米メーカーの平均売上高利益率は8.6%で、業界全体の7.1%を大幅に上回る。ゼネラル・モーターズ(GM)の場合、17年の世界売上高は9472億元(1元は約16.3円)、損失は109億8千万元だった。中国の合弁会社(上汽GM、上汽GM五菱)の売上高は3674億円、利益は279億9千万元で、GMへの配当利益は133億3千万元だった。
国際金融危機の影響により、GMは09年に破産法を申請し、傘下のブランドの多くを手放したり売却したりした。だがGMは破産法の手続きを驚異的なスピードで進め、申請からわずか39日後に資産を売りに出し、「新生GM」が発足して、米政府が最大の株主になり、米財務省が60.8%の株式を保有した。上汽集団も上汽GMの株式の1%を取得し、保有率は小さいものの、これによってGMは資金繰りの問題を解決しただけでなく、引き続き中国市場を開拓する絶好のチャンスをものにした。
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