産業フォーラムで2017年9月8日に工業・情報化部(省)の辛国斌副部長が述べた言葉が、市場に大きな反響を呼び起こしている。
辛副部長はフォーラムで、「世界の多くの国が次々に発展戦略を調整し、新エネルギー、インテリジェント・コネクテッド・カー産業における配置を加速させ、新たな攻略点を奪い合う中、一部の国はすでに従来のガソリン車の製造販売の停止に向けたタイムテーブルを制定した。中国の工業・情報化部も関連の研究をスタートしており、関連部門とともに中国のタイムテーブルを制定していく。こうした動きが中国自動車産業の発展環境や発展の原動力の推進に大きな変化をもたらすことは確実だ」と述べた。
この発言は同部のガソリン車の全面的販売禁止についての初めての態度表明となった。辛副部長はこの「タイムテーブル」の現在の進展状況には言及せず、全面的販売禁止政策がいつ実施されるのかも述べていない。だがこの情報が伝わると、市場に強い反響を呼んだ。
▽新エネルギー車とインテリジェント・コネクテッド・カーを突破口に、自動車産業のブレークスルーを実現
今年4月、同部は国家発展改革委員会、科学技術部とともに自動車の中長期発展計画を発表し、中国ブランドを強く大きくすることを中心に、10年後に世界の自動車強国の仲間入りを目指すとの方針を打ち出した。この計画は今後10年間の自動車産業の発展目標を明確にしており、重点任務と政策措置として、産業全体が新エネルギー車とインテリジェント・コネクテッド・カーを突破口に、自動車産業のブレークスルーを実現する必要があるとしている。
辛副部長はフォーラムで、「今まで中国自動車メーカーの革新力は長期にわたって遅れを取り、多くの中核技術は今なお制約を受けており、高効率のエンジンと先進的なトランスミッションはこれまでずっと産業全体の弱点だった。今は新エネルギー車の分野において、燃料電池、センサー機器、車両の軽量化とスマート化などでの一層の向上が必要であり、実質的なブレークスルーを達成できなければ、再び戦略的チャンスの時期を逃す可能性がある」と述べた。
▽2025年? 専門家「現実味なし」
欧州はガソリン車の全面的販売禁止に向けた計画を最も早く制定したエリアだ。16年10月、大手メーカーが数多く集まるドイツでは連邦参議院が禁止を決議し、30年以降はガソリン車の販売を禁止すると規定した。オランダでも「25年からガソリン車およびディーゼル車を禁止する」との提言が国会で支持を得た。英国とフランスも40年以降はディーゼル車とガソリン車の販売を行わない計画だ。
中国電子情報産業発展研究所設備工業研究所の徐楠研究員は、「現在の状況から考えて、中国にとって、2025年に(ガソリン車の全面的販売禁止を)実現できる可能性は低い。欧州各国の中で一番早くタイムテーブルを確立したドイツは30年の全面販売禁止を打ち出したが、この計画でさえ急進的過ぎるとみられている」と指摘する。
16年末現在、中国の自動車保有量は2億台に迫り、同年の乗用車販売量は2400万台に達し、こうした巨大な「体積」が厳しい資源・エネルギー状況や深刻な環境への圧力をもたらしている。自動車販売量が2千万台を超えるのに対し、16年の中国の新エネ車生産販売量は約50万台にとどまり、現時点での新エネ車の浸透率はまだまだ低く、引き続き購入制限のある都市にばかりに集中している。
現状をみると、全面的販売禁止の実現の時期がそれほど早く訪れるとは思われないが、国産新エネ車が急速に進歩することを前提として、政策が同じペースで加速的に推進される可能性は排除できない。こうして両者が相互に影響し合い、新エネ車産業の加速的進展を後押しする可能性がある。
徐研究員は、「こうした過程で、従来の自動車メーカーがどう対応するかが最も注視すべき問題だ。現在、新エネルギー戦略は多くの中国メーカーのモデル転換・発展に向けた中核戦略になっており、これらのメーカーが過去数年間に全力で取り組んできた開拓の重点でもある」と述べた。
辛副部長は、「今から2025年までは自動車産業が最も激しい変革を遂げる数年間になる」と予測する。この時期に、関連企業は情勢を「深く認識」し、速やかに戦略を調整する必要がある。(編集KS)
「人民網日本語版」2017年9月12日
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