中国とロシアの軍艦が釣魚島(日本名・尖閣諸島)周辺海域に進入した件について、産経新聞は10日詳細な報道をし、菅義偉官房長官が深夜に連絡を受けて非常に慌てたとした。中国中央テレビ(CCTV)によると、報道は菅官房長官の心の動きまで描写し、あろうことかニュースを小説のように書いた。人民網が伝えた。
軍事専門家の尹卓氏はCCTVの取材に「日本メディアのこうした報道は明らかに日本政府側が故意にリークしたものであり、いわゆる中国の脅威を意図的に誇張し、改憲の『必要性』を示して、近く行なわれる参院選に歩調を合わせる狙いがある」と表明した。
日本メディアの報道によると9日未明、中露の軍艦が初めて、かつ同時に釣魚島周辺海域に現れた。これについて中国国防部(国防省)は「釣魚島及びその附属島嶼(日本名・尖閣諸島)は中国固有の領土だ。中国の軍艦が自国の管轄海域で航行するのは理と法にかなっており、他国にとやかく言う権利はない」と応じた。
産経新聞は「9日午前1時ごろ、都内の議員宿舎で就寝していた官房長官の菅義偉は、携帯電話の着信音でたたき起こされた。電話口の秘書官が告げた。『接続水域に入域…』菅は眠気が一気に覚めた。万が一、領海に侵入すれば、不測の事態もありうる。戦後日本が経験したことのない重大危機に直面するかもしれない-。携帯電話を握る手に思わず力が入った」と報じた。
尹氏は「これほど多くのディテールを報道が明らかにするということは、政府側が故意にメディアにリークしたことが明らかであり、中国と日本の民衆に対して同時に世論戦を行なう狙いがあり、日本世論の動向をコントロールして、7月の参院選に歩調を合わせようとするものだ」と指摘した。
中露軍艦の釣魚島周辺海域進入について、米政府の姿勢表明はことのほか落ち着いたものだった。米国防総省のクック報道官は「中国の艦船がそこで何をしていたのかについて、われわれはまだ特に結論を出していない。日本政府と連絡を保ち、今後も緊密な協力を続ける」と表明した。
尹氏によると「中露海軍は国際海域で正常な航行をしていたのであり、コメントすることはない」というのが米側の意味するところだ。
「米国は日本の意図的な誇張を全く真に受けていない」。尹氏は「中露軍艦の釣魚島周辺海域通過に何ら軍事的威嚇の意味合いはないのに、日本は公然と騒ぎ立て、突発的事件のようにしている。その政治的意図は明確だ。現在安倍氏を最も困らせているのは6割以上の日本国民が改憲に反対していることだ。安倍氏は何とかしてあらゆる機会を利用していわゆる『中国の脅威』と『釣魚島危機』を意図的に誇張し、改憲の『必要性』を示そうとしている」と述べた。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年6月13日