米国が最も注視するのは世界の中核としての地位をあとどれだけ続けられるかだ。このため世界のパワーバランスおよび構造の調整に最も懸念を抱いている。(文:沈丁立・復旦大学国際問題研究院副院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
最近、米著名誌「ナショナル・インタレスト」電子版は、米国にとって最大の悪夢はロシアと中国の接近だと指摘する記事を掲載した。記事は中露「両国ともに自らの好きなように世界秩序を再構築するチャンスがある」との認識を示した。これは米エリートの一致した考えを相当程度反映している。
米国は世界秩序を形成する資格は自国のみにあると考えている。もし米国の形成する秩序が第2次大戦時の対ファシズム戦勝における各連合国の貢献を公平に体現し、かつ現在の世界経済において日増しに高まる新興国の重要な役割を公平に反映するのなら、こうした秩序は国際社会の同意を得られないものではない。だが中米関係についていえば、米国は戦後、地政学的戦略の目的から旧敵国の日本をかばったうえ、戦時中の仲間である中国の国家統一実現を制限した。米国がこのように国際秩序を形成し、中国の合法的利益を損なうのなら、米国が自国のみの利益と意向に基づき形成した協力・ウィンウィンにマイナスの秩序を中国がどうして完全に受け入れられようか?
米国は自国こそが世界を指導できると自任しているが、これは何の疑いもなく覇権主義の論理だ。米国は自らの覇権は世界の安定に寄与すると考えているが、事実は決してそうではない。かつて米国はベトナム統一を武力で妨げたが、思い通りにいかなかったうえ、人々を騙して勝つことのできない戦場に再三兵力を投入したため、ベトナムと米国を一層不安定にした。また、米国は10数年前に根も葉も無い罪を着せてイラクに対して戦争を発動し、今なお収束困難なかつてない動揺を現地にもたらした。
米国が失敗を繰り返した原因は、米当局が形成しようと躍起になる国際秩序が不公平な秩序だからだ。米国は独占を好み、分かち合おうとしない。米国は独りよがりで、一方的行動に熱中する。米国は公正を標榜するが、実際には身勝手だ。米国がこの手口を極限まで推し進めれば、必然的に他の国々は一層接近し、パワーバランスの原則で国際秩序を改善して、各自の合理的訴えを守らざるを得ない。