壮大な交響曲と古典詩の持つ不朽の魂が、2次元の歌姫と融合すると、どのような化学反応が生まれるのだろうか?人民網が伝えた。
5月20日、世界的作曲家として知られる冨田勲氏が日本のバーチャルアイドル・初音ミクを引き連れて、北京世紀劇院の舞台に初登場した。午後7時半、スターウォーズのテーマと共に、「イーハトーヴ交響曲」の第一部・宇宙と音楽のシンフォニーが幕を開けた。スターウォーズや組曲「惑星」の壮大な旋律の中で、観客たちは広大な宇宙に飲み込まれるかのような気分を味わった。
第二部のイーハトーヴ交響曲では、日本の詩人・宮沢賢治の世界が描かれた。イーハトーヴは、宮沢賢治の心象世界中にある理想郷を指す言葉とされている。宮沢賢治の故郷・岩手県花巻市は地震・津波の多発地帯であり、自然災害の経験も、イーハトーヴに現実的な色彩を加えた。冨田氏は今回、この世界観を交響曲という形で表現した。観客はこの作品を通じて、時に広大な宇宙を漂い、時に素朴な生活や、激しい暴風雨を経験することができる。第二部では日本のバーチャルアイドル・初音ミクも登場、河合尚市氏の指揮の下、初音ミクのピュアで美しい歌声がオーケストラ・合唱と一体化した。宇宙と神話の世界を描くデジタルペインティングアーティスト・KAGAYA氏の作品が舞台両側に設置されたスクリーンに映し出されると、初音ミクのダンス、オーケストラの演奏、合唱団の歌声が、まるで遙か遠い異世界の出来事のように感じられ、観客は理想郷へといざなわれた。
今年83歳の冨田氏は公演の中で、幼少の頃北京で過ごしたことを明かし、「一番好きな場所は天壇。子供の頃、回音壁の前の圜丘壇で話をすると、自分の声が宇宙からの声と一体化したように感じた。この体験が音楽創作のきっかけともなっている」としたほか、「中国中央音楽学院のEOS交響文献楽団と、日本の混声合唱団イーハトーヴ フレンズ、イーハトーヴ子ども合唱隊が今回、同じ舞台に立てたことを、とても嬉しく思う。音楽がもたらす感動が、中国の観客の一人ひとりに届くことを願う」と述べた。
「イーハトーヴ交響曲」は、芸術祭「2015年相約北京」のプログラムの1つとして上演された。同芸術祭は1カ月あまりにわたって開催され、米国、ラテンアメリカ、フランス、日本など25カ国・地域の42の大型芸術団体、104のバンドやDJが、100回あまりの屋内公演、50回あまりの屋外公演を開催する。(編集SN)
「人民網日本語版」2015年5月22日