博報堂生活総研(上海)の首席研究者・鐘鳴氏 |
博報堂生活総研(上海)はこのほど2014年度の「生活者“動”察」研究成果発表会を北京で開催した。人民網が伝えた。
「中国における新しい情報伝達者層“信蜂”(InfoBee)」をテーマにした研究成果発表会は、中国固有の情報伝達方式やソーシャルメディア(SNS)が生活に与える影響がますます拡大する今の時代の中でもたらされた生活者の人物形態に起こった変化を考察し、これを基点として如何に市場のマーケティング分野に提言を行うかについて発表された。
同発表会に出席した博報堂生活総合研究所の嶋本達嗣所長は、「インターネット、スマートフォンの普及のほか、微博(ウェイボー)、微信(WeChat)、Twitter、LINE、Facebookなどのソーシャルメディアの誕生や個人メディア時代の到来に伴い、日進月歩の情報伝達環境が世界上のあらゆる国・地域で形成されている」と語った。
このほか、博報堂生活総研(上海)の首席研究者・鐘鳴氏は“信蜂”(InfoBee)の概念について説明した。鐘鳴氏によると、中国における新しい情報伝達者層は我先に新しい情報をキャッチしようと飛び回り、それらの情報を持ち帰って自分の「圏子」(信頼でき頼りあえるグループ)で共有し合おうとする。まさにミツバチが蜜を巣に持ち帰り、共有する動きに似ているため、中国特有の情報伝達者たちのイメージを捉え、「信蜂」(InfoBee)と名付けたという。
「信蜂」の情報伝達行動は「相濡以墨」、「秀外惠中」、「各領風騒」という3つのキーワードで説明される。「相濡以墨」は、情報を発信することで自分と「圏子」のつながりをしっかりと固めることを指し、皆が共に生存するための快適な場所を築くことだ。また、「秀外惠中」は、自分が「圏子」から信頼や感謝されるため、自分が持っている情報を友達と共有し合うことで、自分が発信した情報が価値あるものであることを示すことであり、「各領風騒」は「圏子」に一歩進んだライフスタイルをもたらすために、自分が率先して「圏子」をリードし、体験を共有し合うことを示している。
上記の3種類の行動の背景にあるのは、「圏子」に対する帰属意識の浮上と「圏子」への情報依存度の増加にほかならず、この2つの意識はすなわち「圏子」内の情報交換によって自分の存在感を強めることを渇望しているほか、これによって彩りのある生活を創造したいという深層心理の欲求を示している。
「生活者“動”察」とは、博報堂グループのシンクタンク組織・博報堂生活総研(上海)の「生活者発想」による理念であり、生活者の本質的な欲求や新しいライフスタイルの洞察、独自の観点・見解を提出することを主旨に中国伝媒大学広告学院と共同で行った年度研究プロジェクト。関連部門の担当者は、「博報堂生活総研(上海)は今後も各種研究を引き続き行い、独自の視点で生活者の各種行動から固定観念に縛られない研究分析を行っていくつもりだ」と抱負を語った。(編集MZ)
「人民網日本語版」2014年7月21日