中国住宅事情 「買えない」から「借りられない」へ
中・大都市で住宅価格が高騰し、低中所得層の多くは「家が買えない」と嘆き、賃貸を考え始めた。ところが今度は、家賃が高すぎる・賃貸が困難という、高騰する住宅価格に負けず劣らず厄介な問題が立ちはだかり、「買えないし、借りられない」という状況に変化しつつある。人民日報が伝えた。
今年の大学卒業シーズンを迎え、北京・上海・広州など1線都市の賃貸住宅の需要が爆発的に増加している。家賃がさらに引き上げられることはあるだろうか。所得や住宅価格と比べ、家賃には合理的な区間は存在するのだろうか。安定的な賃貸は困難だろうか。記者はこれらの問題について、調査を行った。
◆「住」が主な目標に
100平方メートル余りの住宅を二人部屋や八人部屋の計6部屋に区分けし、約20人が常時入居している。ベッド1床の価格は、月500−900元(約8000−1万4400円)。これは北京市朝陽区双井地区の某団地の典型的な集団賃貸の状況だ。ここで半年間生活している秦さんは、「この部屋は面積が狭く、トイレ・洗面所の数も充分でない。また人の入れ替わりが激しく、安全が保障されていない。ここに入居してから半年余りが過ぎたが、まだ大家と正式な賃貸契約を結んでいない。それでもこの部屋は空になったことがなく、いつも人でごった返している。その理由は、ここの家賃が安いためだ。おなじ団地内であれば、60平方メートルの1LDKの家賃は月5000元(約8万円)ほどだ。私の月収は5000−6000元だが、これほど高額の家賃は支払えず、ひとまず集団賃貸を選択するしかなかった」と述べた。
不動産大手・北京中原地産の市場研究部の張大偉氏は、「家賃が近年、急速に値上げされている。特に北京や上海といった都市では、2011年より年間値上げ率が約15%に達している。これは大きな上げ幅だ」と語った。
上がり続ける家賃に対して、多くの入居者は「耐えられない」と述べている。中・大都市において、入居者の多くは住宅を持たず、購入する資金も無く、現地での就業期間が短い低中所得層で、大学を卒業したばかりの新入社員や、他省からの出稼ぎ労働者などだ。賃貸は彼らにとって差し迫った需要であるが、彼らの多くの月収は、家賃支払後に衣食を何とか維持できるほどしか残らない。
家賃はどれほどの金額が合理的だろうか。需要者、つまり入居者が最も重視しているのは、所得に占める家賃の比率だ。これは家賃支払の圧力を最も分かりやすく反映できる数値だ。調査によると、1線都市の同比率はすでに40%に達している。つまり衣食住の「住」が、仕事に励む主な目的になっているというわけだ。