中国住宅事情 「買えない」から「借りられない」へ (2)
2010年や2011年と比べ、2012年の北京市の前年比の家賃増加率はやや低下しているが、多くの低所得層および一般サラリーマンの入居者にとって、家賃値上げによる圧力は依然として深刻だ。
中・大都市の住民の平均所得は年々増加しているが、15%以上の増加率には遠く及ばず、10%未満がほとんどだ。労働市場に進出したばかりの若者の初任給は、近年むしろ減少している。最新の調査によると、雇用情勢の深刻化により、2013年の大卒者が希望する初任給は、2010年より半減した。ある人は、「北京・上海・広州は私たちの居場所ではないのだろう」と悲観的な意見を述べた。
◆供給増による賃貸の安定化
いかに賃貸市場の需給バランスを改善するべきか。これについては、供給の面から取り組む必要がある。供給の増加により、賃貸市場の需給バランスを改善し、家賃を安定化させることが可能だ。
政府は近年、公租房(安価な公営賃貸住宅)の大規模建設に取り組んでおり、市場の安定した賃貸住宅源の増加を促し、バランスを改善するとされている。しかし多くの公租房がまだ竣工しておらず、また1線都市の公租房は市街地から遠く入居者が少ないことから、その賃貸市場安定化の効果が出始めるのはまだ先のことになりそうだ。
不動産大手・鏈家地産の市場研究部の張旭氏は、「市場で現在余っている住宅の活用は困難だ。家賃収益率の低下、住宅価格高騰を受け、市場独自の調節では賃貸住宅の増加を促せない。個人所得税や営業税の減免、さらには補助金の支給により、個人が使用していない住宅を賃貸に出すことを促し、余っている大量の住宅を活用するべきだ。公租房は建設を加速し、提供を急ぎ、規模効果を生み出すべきだ。また公租房の周辺の交通・生活施設を充実化し、入居者の申請を促すと良いだろう」と提案した。