円相場が株式市場に影響
日本では最近、経済の立て直しが期待される中、株式市場のパフォーマンスも悪くない。円安がさらに進む可能性を考えれば、日本企業はそれによって利益を上げて、今後の市場を支えると見られる。だが、当局が最近打ち出した金融・財政政策が実体経済にどれほどの影響を与えられるか、そして影響がどれほど続くかは、依然若干の試練に直面している。(文・JPモルガン・アセット・マネジメント業務執行取締役。証券時報掲載)
これまでは円高が日本の経常収支と貿易の大きな足枷となってきた。2012年第3四半期に日本の経常黒字はすでに域内総生産の1.2%にまで落ち込んでいた。円安によって経常黒字は回復するかもしれない。
JPモルガン・アセット・マネジメントは、現在は円安傾向を支える要因が若干あると指摘する。まず、日本銀行の金融緩和は米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和が円相場にもたらす圧力を相殺する助けになる。近年の円高の主要原因は、ドルの利率が円の利率より低いことにあった。次に、周囲の国際環境の極端なリスクが軽減されることで、円をリスク回避に利用する投資家の需要も減る可能性がある。
だが、円安を支持する十分な理由はあるものの、この傾向が持続的な経済成長に転化するかどうかはまだわからない。だが円安傾向が日本企業が円建ての海外収入にとって好材料であることは良い知らせだ。また、理論上、円安は海外市場での日本製品の競争力強化にプラスであり、日本の株式市場に数多くの製造業が上場していることを考えれば、株式市場の回復に対する意義はことのほか重要だ。
この他、日本銀行も資産購入計画の効率を高める必要がある。米国に似て、日本のマネタリーベースに占める広義マネーサプライ(M2)の比率は近年下がり続けている。これは日本銀行は資産購入および金融システムへの資金注入を通じてバランス・シートを拡大することができるが、銀行は相応に融資を増やしてはおらず、マネーサプライシステムにボトルネックが存在することを意味している。日本銀行はまずこの問題を解決する必要がある。
日本政府の財政支出計画にも、効果が持続するのかという試練がある。日本政府は公共事業への拠出を通じて、一時的な刺激ではなく、持続的な成長環境を創造する必要がある。
全体的に言って、現在は日本の株式市場の持続的上昇を支える要因が複数ある。円安傾向は日本の輸出競争力の強化にある程度寄与し、企業黒字に好材料をもたらすが、これは海外の投資家にとって、日本の株式市場に投資する際、円相場についてヘッジを行う必要があることも意味している。(編集NA)
「人民網日本語版」2013年2月26日