アベノミクス3本目の矢は放たれないだろうか? (2)
第三に困難に直面すればすぐに退却する頼りなさだ。雇用制度の改革でも同様だ。正社員の新陳代謝にプラスとなる解雇規制の見直しは、産業競争力を高めるには不可欠のものだ。3月15日に行われた会議では、正社員の解雇規制の見直しが提起されたが、ただちに野党の猛反対に遭い、「安倍政権はクビ切りを自由化する」と批判を受けた。すると安倍首相は厚生労働省に代替案を提出するよう指示した。現在、日本企業は激しい競争にさらされており、解雇が難しい正社員を大幅に増やすことをせず、非正規雇用者を採用して人手不足をカバーしている。非正規雇用者の待遇が低下しており、若い世代が最も割を食っている。解雇規制を緩めれば、企業は正社員の雇用を増やすことになる。だが参議院選挙を間近に控え、解雇という話題は非常にデリケートであるため、ひとまず引くしかない状態だ。
総じていえば、デフレと経済成長の鈍化が日本が「失われた20年」を経験して以来解決できていない二大問題だ。中でも経済成長がカギを握る。安倍首相は2回目の登板で、初めて首相に就任した時には経済政策の失敗という苦い果実を味わい、現在も何かよい方法があるわけではない。安倍首相は2本の矢を放ち、円高の問題を一時的に解決したが、経済成長の問題は未解決で、デフレという厄介な症状も改善されていない。
奇妙なことに安倍首相の支持率は上昇の一途をたどっている。その主な原因はアベノミクスが短期的な効果を上げたことのほか、安倍首相が「民族主義カード」を切ることに力を入れ、ますます右傾化していることにある。だが長期的にみれはこうした傾向はよいことではない。経済成長の本当の恩恵を被ることができなければ国民はより深い失望を味わい、極右化する可能性があるからだ。そうなれば世界の人々の信頼を失い、自分で持ち上げた石を自分の足に落としてケガをするようなことになってしまう。(編集KS)
「人民網日本語版」2013年5月10日