中日関係悪化の余波を受ける沖縄の婚礼用写真スタジオ
昨年9月、日本政府が釣魚島(日本名・尖閣諸島)の国有化を発表し、中日関係が悪化し、中国などから訪れるカップルをターゲットにした沖縄の婚礼用写真スタジオ「ザ・ドリーム・スタジオ夢工房」も大ダメージを受けた。南華早報のウェブサイトが報じた。
中日合弁企業である同スタジオは、絵に書いたような美しい風景が自慢の沖縄に、結婚式を挙げたり、新婚旅行に行ったりするカップルを呼び込むビジネスを行っている。ただ、現在の中日関係の動向からして、同スタジオの経営も決して楽観視できる状況ではない。
昨年、中日関係が悪化して以降、同スタジオの中国人客60%が予約をキャンセルした。現在、経営は少しずつ持ち直してきているというが、今後もそれが続くかは、全く予想不可能だ。
同スタジオのパートナーの1人である江蘇省蘇州市の張夢雅さんは、「今回の経験を背景に、当スタジオは世界における計画を1から見直さざるを得なくなった。もし中国と日本の関係がさらに悪化すれば、中国人を対象に沖縄でスタジオを経営している当社に選択の余地はなく、ほかの場所に移るしかない」と危機感を表す。
昨年6月に設立された「ザ・ドリーム・スタジオ夢工房」は、日本国内市場や中国大陸部、香港、台湾などからの客をターゲットにしている。同スタジオは、張さんが蘇州市で経営するブライダル会社と日本のワタベウェディングの合弁企業だ。
一方、北京ブライダルサービス機構「愛度網」の楊◆首席執行官(◆は金へんに色)は、「海外で結婚式を挙げる中国のカップルが増加している。中国では毎年、結婚式に使われる費用が6000億元(9兆6千億円)に達している」と、ブライダルが大きな市場であることを指摘する。
現在、中国人が海外で挙げる結婚式の費用に関する統計データはないが、これもかなりの市場になっていると見られている。
張さんは、ワタベウェディングとの提携を機に、中国で急速に発展するブライダル旅行業の基礎を据えようとしていたのだ。ところが、昨年9月、日本政府が釣魚島の国有化を発表し、中日関係が悪化。同スタジオの経営は、予期せぬ大打撃を受けた。
領土をめぐる紛争以外に、日本のビザ取得に関する複雑な条件も中国のカップルを足踏みさせる要因になっていると見られている。楊首席執行官は「新婚カップルがビザを取得できても、その親戚や友人などにとっては、申請の手続きがまどろっこしい」と指摘する。
そして、「タイのプーケットやインドネシアのバリ島などは、中国人が結婚式を挙げる場所として沖縄より人気がある」とし、その理由に関して、「同2国は短期滞在者に対する到着ビザ(VISA ON ARRIVAL)が発行されるから」と述べた。
しかし、同スタジオの中国大陸部からの客は減少したものの、香港や台湾からの客は安定しており、同スタジオの経営が維持されている。また、沖縄に新婚旅行に訪れたり、ブライダル写真を撮影したりするカップルは、張さんに「沖縄の費用は、自国より安い」と伝えるという。
同スタジオは最近、経営が好転したため、中国人カメラマン4人と日本人カメラマン2人を雇用した。
張さんは「最悪の時期は既に過ぎた」と語り、今後の経営に対して楽観的な見方を示している。 (編集KN)
「人民網日本語版」2013年7月17日