中国ネットユーザー62%「マイナス情報こそ共有したい」
「微博」(ウェイボー・ミニブログ)に先日投稿された「河南省開封市農村部出身の李盟盟さん、高考(全国統一大学入試)で565点の高得点を獲得したが、入学願書を提出しなかったことから、入学を許可されなかった」というコメントは、短時間で12万回以上転送された。しかし、調査の結果、これは3年前の出来事であり、李さん本人は3年前の9月、無事大学に入学している事実が判明した。李さんは、「ネット上に飛び交う情報が、事実とかけ離れていくことがないよう望んでいる」と話している。中国青年報が伝えた。
3年前のこの事件について遡ってみよう。当時、全国統一大学入試の李さんの得点は565点、河南省理系重点大学の合格ラインを13点上回った。河南省は同年からオンライン願書受付をスタートした。PCの操作に慣れていなかった李さんは、オンラインによる願書提出をせず、省の入学弁公室に出向いて願書を提出した。だが、弁公室のPC入力担当者が、未入力の李さんの願書を引き出しに入れて鍵をかけたまま忘れてしまったため、李さんは「不合格」扱いとなった。この事実が「微博」で明らかになったところ、10万のネットユーザーによって転送されて大騒ぎとなり、最終的には特例として李さんは晴れて希望する大学への「合格許可証」を手に入れた。
「奇跡」が起こった時、数万人に及ぶネットユーザーは、「万能のウェイボー!奇跡のウェイボー!正義のウェイボー!愛のウェイボー!李盟盟さんは無事大学入学を果たした!」と歓喜の書き込みを寄せた。しかし、3年経った今、事件の主役は李さんのままで、ネットユーザーによる転送回数も10万回を超えているが、もはや「万能・奇跡・正義・愛」は姿を消し、その代わりに「偽り・欺瞞・真実からの乖離・撹乱」がネット上にあふれた。この違いから、「ウェイボーとは結局何?ネットユーザーとは結局どんな人たち?なぜ『正義感に満ちたネットユーザー』が『欺瞞に満ちたネットユーザー』に変身したの?」という深遠な疑問が浮かび上がってくる。
ウェイボーがずっと「マイナス情報症候群」に罹患している事実は否定できない。米市場調査会社ニールセンが2010年に発表した調査報告書は、アジア太平洋地域で、製品に関する批判的なコメントの発表を最も好むのは中国人としており、「マイナス情報こそ共有したい」とした中国人ネットユーザーは世界平均(41%)を上回る62%に達した。その後行われた中国青年報社会調査センターの調査によると、中国人ネットユーザーの41.3%は「ニールセンの調査結果は的を得ている」と認めた。そして現在、「マイナス情報」に親近感を覚えるネットユーザーの対象範囲は、もはや商業・消費分野だけに限らず、社会生活全体に及んでいる。
「不合格」から救出されたという3年前の出来事であれ、「虚偽情報」が多数転送されて迷惑を受けたという今回の出来事であれ、ネットユーザーの注目を集めるのは「マイナス情報」だ。前回は、「全国大学統一入試で565点を取ったのに、不合格になった」、そして今も、これからも、同じような良からぬニュースが人目を引く。3年前のニュースは事実だったことから、転送回数の多さがプラスのエネルギーに集結した。今回の情報は嘘っぱちで、転送されればされるほど、傷口は広がっていく。社会は、「賢さと愚かさ」「真相と嘘」のせめぎ合いによって進歩する。「マイナス情報症候群」は、ある程度までは恐れるに足らない。恐ろしいのは、それによって無意識に消極的な態度を取ることだ。オンラインによる願書提出は、スタートしてすでに数年が経過したが、どのようなルートで申請したのか、事実をしっかり見極めることについて、一部のネットユーザーは、より理性的・客観的な姿勢を身に付ける必要がある。
また、見方を変えると、ネットユーザーが「マイナス情報」に注目し、転送したがる傾向の背景には、それに対して万人が共有している生存空間を良い方に向けたいという心理的欲求、さらにはその中に存在する共同運命への共鳴がある。ロサンゼルス精神衛生センターのシニア顧問を務めるUCLA・Damien Lu教授はこれについて、「ある企業や一職業人のスキャンダルが発覚すると、人々は、関係者全員に警戒心や懐疑を抱く。これはいたって正常な反応だ。よって、ネット上における『マイナス情報症候群』を治療するためには、ネットユーザーの成熟・進歩のほか、制度面からも適宜、社会の欠陥を是正しなければならない。大学入試制度に『救済措置』が設けられれば、『ネットユーザーを惑わすウェイボー』の投稿が、大量に転送されるような事態が発生することなどあり得ない」とコメントした。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年7月11日