北京市民、お財布携帯でバス・地下鉄に乗車可能に
北京で市バスに乗る時、もはや市政交通カードを持つ必要はなく、携帯電話をかざすだけで乗車できるようになる。買物をする時も、銀行カードを取り出さずにすむ。POS(販売時点情報管理)端末に携帯電話をかざせば瞬時に支払いが完了する。中国移動(チャイナモバイル)は13日、金融街や中関村西区など北京エリアにある同社営業所6カ所において、モバイル決済機能を持つ携帯電話NFC?SIMカードへの無料交換をスタートしたと発表した。また、ボランティアによる「携帯電話をかざして公共交通機関の運賃を支払う」試行体験も進められており、一日も早い実現に向けてラストスパートに入っている。北京日報が伝えた。
○北京エリアの6営業所でカードの無料交換が可能
銀行カード、市政交通カード、キャンパスカード、メンバーカードなど市民が持っている各種実体カードを電子化して携帯電話に搭載すれば、携帯電話は、時と場合に応じ、「銀行カード」や「交通カード」に瞬く間に変身する。
チャイナモバイル・データ部の沈紅群・副総経理は、「チャイナモバイルと市政公交一卡通公司は、連携ネットワーク構築と内部テストをすでに完了させ、ボランティアを募り『携帯電話をかざしてバスの運賃を支払う』試行体験が進められている。お財布携帯によるバス乗車を一日も早く実現させ、その後、地下鉄・空港・キャンパスなどにもサービスを拡大していきたい」と抱負を述べた。
このサービスを利用するためには、携帯電話ユーザはまず、現在使用している普通の携帯電話用SIMカードをNFC?SIMカードに交換しなければならない。その後、銀行や市政公交一卡通公司などに申請し、審査通過したカード情報を携帯電話用NFC?SIMカードにダウンロードすれば、携帯電話は「お財布携帯」に変身する。
チャイナモバイルの10086番カスタマーサービス担当者は、「弊社では、すでにカードの無料交換サービスをスタートした。北京エリアでは、金融街、中関村西区、太平橋大街、美匯大厦、北京科技大学、魯谷の6営業所で同サービスを実施しており、今後、全ての営業所に拡大していく」と述べた。
○一定の時間がかかるSIMカード交換作業
記者は13日午後、海淀区にあるチャイナモバイル中関村西区営業所で、無料でNFC?SIMカードへの無料交換のために同営業所を訪れていた張氏に出会った。
「お財布携帯試行開始」のニュースを見て、カード交換にやって来たという張氏は、中関村にあるIT企業で働いており、モバイル決済技術に関して、常々興味を持っていたという。「携帯電話ひとつで市バスや地下鉄に乗車し、買物するというのは、非常に斬新的な方法で、自分も早く体験してみたい」と張氏は語った。
しかし、大きな期待とはうらはらに、その結果は張氏を失望させるものに終わった。
営業所の担当者は、「お財布携帯サービスはスタートしたばかりで、技術的な点については、銀行の職員が弊社営業所に足を運んで、初めて処理が完了する。お財布携帯を開設するには、携帯電話NFC?SIMカードと浦東開発銀行(浦発銀行)のジョイントカードを揃えて提出いただく必要があるが、このジョイントカードの発行には、最低2日ほどかかる。弊社で具体的な日にちを案内することはできない」と語った。
担当者は、「お財布携帯サービスを希望するユーザは、まずチャイナモバイル営業所に出向き、モバイル決済機能を持つNFC?SIMカードに交換してもらった後、浦発銀行で専用モバイル決済銀行カードの手続きを行い、再びチャイナモバイル営業所に戻り、SIMカードと銀行カードを揃えて提出しなければならない。大変手間のかかるプロセスであることから、銀行職員が営業所に出向いて手続きを終えた後、ユーザが営業所に足を運んだ方が効率的だ」と提案している。
「お財布携帯」は、手続きに2日間以上かかるだけではない。チャイナモバイル営業所が取り扱っているお財布携帯の提携銀行は、今のところ浦発銀行に限られている。営業所担当者によると、他の銀行との提携については、まだ具体的に決まっていないという。
○NFC決済対応新型SIMカード対応携帯、9月末に20機種以上に
取扱い営業所の拡大が遅々として進んでいないものの、モバイル決済が市民生活に浸透するのは、もはや時間の問題と見られる。
チャイナモバイルによると、現在、お財布携帯サービスを利用できる携帯は、HTC ONE、サムスンS3、サムスンS4、華為、中興の5種という。中国移動終端公司の唐剣鋒・総経理助理は、「今年9月末までに、NFC決済対応の新型SIMカード対応機種は20モデルを上回り、価格帯は500元から5千元(約7700円から7万7千円)となる見通しだ」と語った。
北京市内では現在、スターバックス、ハーゲンダッツ、万寧、中信書店などで、お財布携帯が使用できる。浦発銀行「お財布携帯」には、ネットバンキング、口座残高チェック、電子マネーチャージなどの機能が備わっている。ユーザは、電子マネーとして利用するのか、指定銀行カードとして使うのかを選択することができる。電子マネーとしての利用可能上限額は1千元(約1万5500円)。
チャイナモバイルと銀聯の発表によると、今のところ、中国銀行、中信銀行、光大銀行、民生銀行、広東発展銀行、浦発銀行、上海銀行、北京銀行の8行でお財布携帯電話へのチャージが可能で、銀聯「閃付(Quick Pass)」マークがついている全国130万台以上POS端末で利用できる。
ただし、アップル社iPhoneはNFC決済対応機能を搭載していないいため、iPhoneユーザがお財布携帯を手に入れることは、当面不可能だ。(編集KM)
「人民網日本語版」2013年6月14日