「独身の日」で盛り上がる中国 その背景は?
中国で1が4つ並ぶ11月11日は「独身の日」。「独身脱出」や「剰女(売れ残った女性)脱出」などのフレーズがネット上などにあふれた。今年はeコマース(電子商取引)も「シングルデー」特需に沸いており、中国の大手eコマース「天猫(Tmall)」は同日午後の時点で、総取引額100億元(約1200億円)を突破。まさに「書き入れ時」となった。 中国紙「広州日報」が報じた。
取引額1200億円の記録に、独身向け市場にはこれほどの消費潜在能力があるのかと、驚かされる。「シングルデー」がこれほどまでに消費を刺激した理由は定かではない。しかし、これを機に、中国社会工作協会結婚仲介業委員会と大手出会い系サイト「百合網」が今年1月、共同で発表した「中国人の結婚・恋愛状況調査報告」に再び注目が集まっている。
同報告によると、中国の女性の約7割が「マイホームを持っている男性としか結婚しない」、約8割が「月収4000元(約4万8千円)以上の男性としか恋愛はしない」と答えている。同調査は中国の「男は誤った事業に関わるのを恐れ、女は悪い男に嫁ぐのを恐れる」という伝統的な観念が、今でも根強く残っていることを物語っている。この機会に、独身者が抱えているプレッシャーや現代の人々の恋愛や結婚に対する姿勢を再吟味してみるのはどうだろうか。
中国で以前、「光棍」は独身男性のみを指していたが、近年「剰女」と言う言葉が流行するようになってからは、独身の男女両方を指すようになった。表面的には男女の地位が平等になったように思われる。ただ、1978年以降「一人っ子政策」を進めてきた中国では今、男女人口比率のバランスが大きく崩れ、女性が「甲斐性ある男性」を選ぶ社会に突入。男性が「独身脱出」するのは容易でなくなっている。女性が恋愛の最低条件に月收4000元以上、マイホームを突き付ける現状を見ると、ある専門家が「中国の不動産高騰は女性の母親の仕業」と言うのもうなずける。このような条件がある限り、今では1億8千万人と言われる中国の独身男女の数は今後も増え続けるだろう。データによると、11年、中国全土の農村部の住民の平均純年収は6977元(約8万4千円)にとどまり、都市・小都市部の住民でも平均総年收2万3979元(約28万8千円)程度。このような状況では、多くの男女が結婚、しいては恋愛さえできない。