こういった「小遣い制」の下、妻と夫の地位の格差を嘆いたサラリーマン川柳もある。「昼食は 妻がセレブで 俺セルフ」。
■家の大黒柱になることを選ぶ女性
家庭内だけでなく、政治、経済の分野でも、日本の女性は「逆襲」のチャンスを迎えているようだ。「ウーマノミクス」の提唱者で、安部政権の経済ブレーンでもある、キャシー・松井(ゴールドマンサックス証券(株)マネージング・ディレクター)氏は、かなり以前から女性の労働力が男性並みに上昇すれば、日本のGDPは15%拡大するという予測を発表してきた。
米国の「ロサンゼルス・タイムズ」紙も、経済学者の論説を引用し、女性の就職率が男性並みになれば、日本では労働力が800万人増えると報じた。出生率の低下や高齢化、労働力不足といった問題に頭を悩ます日本社会にとって、これは大きな希望を感じさせるものだ。
2013年4月、安部政権は、女性を活用して日本経済を成長させるという「アベノミクス」の「第3の矢」である成長戦略を発表した。安部首相本人も「女性の社会進出はもはや選択肢ではなく、急務」として、「女性の力がなければ、『アベノミクス』は成功しない」と断言した。
日本は、「幼稚園を増やす」、「企業の産休や育児休暇を延長する(3年のフレックスタイム制)」などの措置を通して、専業主婦が職場に戻れるよう奨励する計画を立てている。
また、政府は企業に向け、女性管理職の比率を上げるよう通達し、2020年までに就業者全体に占める女性の割合を30%にまで引き上げることや、上場企業では役員に少なくとも女性一人を加えるよう要求した。各政府機関でもこの規定は実行され、2013年11月には日本内閣では経済産業省の審議官・山田真紀子氏を首相秘書官に任命した。山田氏は戦後初の女性首相秘書官となった。
■容易ではない女性の「逆襲」
しかし、政府の手厚い政策に関して、日本の女性たちはほとんど感謝していないようだ。厚生労働省が行った2013年の「若者の意識に関する調査」によると、15-39歳の独身女性のうち、3人に1人が「専業主婦になりたい」と答え、61%の女性が、「女性は、仕事よりも家事や子育てをするべき」と答えている。「夫を安心させるためにも、全力で仕事をすることが妻の務め」と答えた女性は29%のみだった。
日本の女性はなぜこんなにも野心がないのか?これは、女性を取り巻く世の中の情勢に敏感であることを示している。日本の女性は、家庭内であれば家計を握れるが、職場には昔と変わらず男女差が存在し、昇進や報酬といったチャンスも男性に比べて遥かに少ない。
大手製薬会社の役員を務める鳥取桂氏は、「職場に存在する目に見えない壁だけでなく、最も重要なのは、家事や子育ては女性の仕事という家庭概念を変えることだ」と指摘する。鳥取氏は、「日本社会では、『主婦』の観念は非常に深く浸透している。そのため、政治家および財界の人々の思想も保守的で、表面的には、男女平等や女性の活用によって経済を活性化させると提唱しながらも、実のところは女性を出生率を高め、人口を増やすための手段としか見ていない」という見方を示す。