岩井俊二監督、お忍び訪中 パンダ鑑賞に火鍋 (2)
金沙博物館を見学する前、忙しい中で時間を見つけて、四川省の伝統芸能「川劇(ぜんげき)」のダイジェストを見に劇場へ行った。「変臉」と言って、岩井監督は手のジェスチャーで大きな円を描いてみせ、「非常に素晴らしかった。川劇は中国の伝統文化であり、この中のストーリーは最も伝統的な愛や喜劇などが演じられていた」と感想を述べた。岩井監督の中で、伝統的な川劇はまるで人と人の関係のようだという。「このような語りのスタイルは非常に伝統的だが、現在ほとんどの映画は言語が複雑になりすぎている。川劇は多くの創作のインスピレーションを与えてくれた」と語った。
これだけでなく、岩井監督は特に火鍋を食べるのが好きだという。今回、成都に来て、岩井監督は特別に四川特有の青とうがらしをオーダーし、赤い火鍋の中に入れた。岩井監督は「麻」(しびれる)の感覚が好きなのだという。岩井監督が非常に中国文化に精通しているのを知って驚いていると、岩井監督は楽しそうに成都の印象を語り始めた。そして、「先生」や「小姐」などといった中国語の単語を書いてみせた。
岩井監督は最近パソコンで描いたという最新の油絵「ロリータ」を見せてくれた。隣にいた友人によると、「岩井監督は映画監督の中でも科学者タイプで、どんなソフトウェアでも使いこなせる」という。実際、岩井俊二監督はマルチアーティストだ。詩を書くし、小説も書くし、音楽や絵画も好む。基本的に、岩井監督の映画の中で使われているピアノ曲は監督自身が作ったものだ。岩井監督にとって、映画はこれらの興味をすべて融合させたものといえる。
2011年の「ヴァンパイア」以降、新作の発表がないが、これについて岩井監督は「なるべく早く新作を発表したい。来年かな。現在、いくつかの物語の構想があるが、まだどれを先に脚本を書くか決めていない。ホラーやスリラーがすごく好きだ」と語った。また、ハリウッド進出について聞いてみると、「ハリウッドに進出するなんて考えたこともない。僕は自分自身の世界を持っている。この世界の見方を映画だけでなく、文字や音楽や絵画を通して表現してみたいと思っている。この2年間新作はないが、小説を2冊書いたし、ドキュメンタリーも2本作った。曲や詞の提供も行っている」と否定した。
友人によると、「これは岩井監督の創作習慣で、毎回映画を撮る前に、同名小説を書き起こす」という。岩井監督の労働時間の配分について同友人に質問すると、「365日、毎日仕事。正月も働いていた。しかも一日の労働時間がとても長い」と感慨深げに語った。(編集MZ)
「人民網日本語版」2013年4月1日