「南から来たジャガイモ」の呼び名がネットで流行 気になる南北の身長差
2024年幕開け早々、「南方エリアから来たジャガイモ」というワードが中国のネット上で大人気となり、検索のトレンド入りの「常連客」となっている。
「南方エリアから来たジャガイモ」とは中国の南方エリアから来た観光客を指している。今シーズンの冬、黒竜江省の哈爾浜(ハルビン)や漠河、伊春といった、アイス・スノー観光都市が人気の旅行先となり、多くの観光客が同地を訪れている。そんな中、東北エリアの人たちは、南方エリアから同地に遊びに来た観光客を、親しみを込めて「南方エリアから来たジャガイモ」と呼んでいるのだ。そしてこの呼び名が注目されるようになると、その南北の身長差についても、注目度が上がり、好奇心から「南方エリアの人と北方エリアの人の身長差ってそんなに大きいの?」といったコメントが寄せられるようになっている。
2022年出版の「2019年中国学生体質・健康調査研究報告」によると、地域別の19歳から22歳までの男性の平均身長を見てみると、トップは黒竜江省で178.17センチ、2位は遼寧省で176.72センチ、3位は山東省で176.38センチとなっており、トップ3の平均身長はいずれも175センチ以上だった。
そしてトップ3が全て北方エリアの省となっているだけでなく、トップ10を見ても、ランクインしている南方エリアの省は江蘇省(175.48センチ)だけで、9位となっている。南方エリアだけを見ると、トップの江蘇省に続いているのは、湖北省174.17センチ(全国14位)、安徽省174センチ(全国15位)となっている。
しかも地域別で見ると、トップ20に入っている省の南北比は3:7と、その差がはっきりしていた。
「南北の身長差」は実はそれほど大きくない?
しかし、南方エリアのトップ3と北方エリアのトップ3を基に南北の身長差を計算してみると、2.54センチだった。また、北方エリアトップの黒竜江省と、南方エリアトップの江蘇省の差も2.69センチだった。
都市別で見た場合でも、南北の身長差は実はそれほど大きくないことが見てとれる。中国の省都30都市の18歳の青少年を対象にしたある研究で得られたデータによると、北方エリアに属する遼寧省瀋陽市の男性の平均身長は175.68センチ、同じく北方エリアの吉林省長春市の男性の平均身長は175.16センチとなっていた。これは、多くの人が抱く「北方エリアの人々の身長は高い」というイメージと一致しているだろう。一方で、上海の男性の平均身長も「175センチ」以上で、175.01センチとなっている点は、人々に意外だと感じさせるかもしれない。
つまり、南北の身長差は実は多くの人が考えているほど大きくはないということだ。
南方エリアの人が「ジャガイモ」と呼ばれているワケは?
実のところ、「ジャガイモ」と呼んでいるのは、身長の低さだけでなく、南方エリアから来た人々の装いもその理由の一つとなっている。北方の寒さに慣れていない南方エリアの観光客は、東北エリアに来ると、たくさん服を着こむため、まるで丸々とした雪だるまのように見える。また北方エリアの人からすると、その身長もやや低めだ。そんな南方エリアの観光客たちが氷や雪を見て喜び、大はしゃぎしている様子が、まるで鍋の中でゴロゴロ転がるジャガイモのように見えるというわけだ。
画像は動画のスクリーンショット
さらに土がついたジャガイモはきれいに洗うと、見た目が一変する。これは南方エリアの観光客の多くが東北エリアに来ると、「垢すり」を体験するため、洗ってきれいさっぱりにするという点がジャガイモと見事にマッチしているからという説もある。
「垢すり」を体験したことがなく、北方エリアに来て、垢すりを始めとした入浴施設のお風呂文化を初体験するという南方エリアの観光客も多い。北方エリアには大型の入浴施設がある都市も多く、その混雑ぶりは春節の帰省ラッシュ並みだ。そこではスーツケースをゴロゴロとひきながらやって来て、北方エリアならではの垢すりを体験する南方エリアからの観光客も数多く目にすることができる。
長旅で疲れた南方エリアの観光客が入浴施設で垢すりを体験すると、その肌は洗った後のジャガイモのようにツヤツヤになる。そのためネットユーザーからは、「入浴の合い言葉は『ジャガイモの泥を落とせ』でいいと思う」といったコメントも寄せられている。
ディスっているのではなく親しみを込めた愛称
「南方エリアから来たジャガイモ」という呼び名が流行するにつれて、「身長のことをディスられている」とやや不快に感じている南方エリアの人もいるようだ。しかし、東北エリアのネットユーザーは、「差別的な意味は全くなく、『南方エリアから来たジャガイモ』というのは、かわいらしく、レアな感じがするワード」と親しみを込めた表現であるとしている。
言葉のニュアンスという観点からすると、その呼称はポジティブで、楽しさがこみ上げてくるとすら言ってもいいかもしれない。
言葉のニュアンスというのは、シチュエーションや前後の文脈によって異なってくる。つまり、表現そのもの以上に、どのようなシチュエーションで使われるかという点の方がより重要なのだと言えるだろう。(編集KN)
「人民網日本語版」2024年1月29日
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