哈爾浜(ハルビン)工業大学と哈爾浜医科大学の科学研究者が共同開発したクマムシ型医療用マイクロナノロボットが、静脈高速血流環境における運動の制御を大まかに実現した上、静脈血流の中で36時間以上立ち止まれる。科技日報が伝えた。
関連研究成果はこのほど「Science Advances」最新号にオンライン掲載された。専門家は、「この成果がこれから臨床実用化を遂行できれば、標的への薬物送達の効率を大幅に高め、膵がん、膵炎及びその他の腫瘍疾患に明るい見通しをもたらす可能性がある」との見方を示した。
専門家によると、注射、服用、静脈点滴などの一般的な薬物送達は、いずれも薬物分子またはキャリアの血液などの流体における拡散で行われる。こうした薬物分子またはキャリアは血流などの生物流体によって拡散され、送達効率が低く、有害反応や副反応が強い。現在急速な発展を遂げているマイクロナノロボットは小型・軽量でスラスト質量比が高く、複数の生物学的障壁を通過できるという優位性と特徴により、生物医学、標的抗腫瘍薬の送達、科学検査などの分野で徐々に頭角を現しつつある。
哈爾浜工業大学ロボット技術・システム全国重点実験室のチームと哈爾浜医科大学付属第一病院一般外科の専門家が協力し、「血管内の標的に立ち止まれるクマムシ型医療用マイクロナノロボット」の研究を共同で行い、クマムシ型医療用マイクロナノロボットの設計に成功した。
同ロボットにはクマムシのような「脚」があり、マイクロナノロボットの駆動効率を大幅に高め、ロボットをより「速く」走らせることができる。科学研究者は、医療用光干渉断層撮影技術を利用した検査で、直径20マイクロメートルのロボットが2万マイクロメートル毎秒の静脈血流環境で効率的に運動できることを発見した。ロボットをストップさせるため、研究チームはさらに多磁場複合調節技術を利用し、マイクロナノロボットが生物の組織の表面で長時間立ち止まるとともに標的薬を放出できるようにした。(編集YF)
「人民網日本語版」2023年6月7日