6月6日午後1時30分、中国初の国産大型クルーズ船「愛達・魔都（ADORA MAGIC CITY）」号がドックを出ようとしていた。これは同船の船体の主要部分の建造がほぼ完了し、埠頭に移動して設備の調整と内装を始める最終段階に入ったことを示している。今後、海上で2回の試験航行を行い、計画では年内に引き渡され、来年には正式に運営をスタートするという。中国新聞網が伝えた。
計画によると、「愛達・魔都」号は7月と8月に計2回の試験航行を行い、エンジンシステムと推進システム、消防、火災対策、救助、通信・測位、振動・騒音、安全な帰港などクルーズ船の安全に関わる各種機能を全面的に検証し、客室と公共エリアの内装工事の検査を完成させ、年末に正式に命名されて引き渡されるという。
ドックを出る中国初の国産大型クルーズ船。（撮影・周孫楡）
中国は、造船業界の「3つの宝石」をまもなく手中に
世界の造船業界において、航空母艦、大型クルーズ船、大型液化天然ガス（LNG）運搬船は造船における「3つの宝石」と呼ばれていることは広く知られている。そしてこれはまた現在のグローバル船舶工業の「最高レベル」を示し、その国の総合的国力を象徴するものでもある。
「愛達・魔都」号が順調にドックを出たことにより、同船を建造した中国船舶集団はまもなく世界で唯一の航空母艦、大型クルーズ船、大型LNG運搬船の「3つの宝石」をその手に収めた船舶グループになり、歴史を作りあげることになるだろう。
これまで、大型クルーズ船だけが中国の達成していないハイテクを利用した高付加価値の船種だった。その全体の部品は2500万個に達し、大型旅客機「C919」の5倍、高速列車「復興号」の13倍に相当する。船内に張り巡らされたケーブルは総延長4200キロメートルの長さに達し、上海から拉薩（ラサ）までの距離とほぼ同じだ。
6月1日早朝から「愛達・魔都」号は注水・浮上、移動からドックを出るまでの6日間に及ぶ作業がスタート。写真は上空から撮影した浮上に成功した中国初の国産大型クルーズ船「愛達・魔都」号。（撮影・殷立勤）
「海上を移動する現代都市」
「愛達・魔都」号は総トン数が13万5500トンに達し、英国のロイド船級協会（LR）と中国の中国船級社（CCS）に登録されている。
全長は323.6メートル、型幅37.2メートル、満載喫水8.55メートル、最大速力22.6ノット、旅客定員最大5246人、客室2125室となっている。ポッド電気推進システムを採用し、16.8メガワット2台と9.6メガワット3台の総合効率62.4メガワットのメインのディーゼル発電機2台と、16.8メガワット2台のポッド電気推進機を配備している。
「愛達・魔都」号は「海上を移動する現代都市」と呼ばれている。4万平方メートル（標準のサッカーコート約6面分）を超える16階建ての巨大な上層建築物には船内生活や娯楽のための公共エリアが設けられ、大型芸術ホールや大型レストラン、特色あるレストラン、各種バー、カフェ、アート回廊、スパ、ウォーターパークなどの豊富で多彩なレジャー・娯楽施設が設けられているほか、さらに海上で最大規模を誇る免税店があり、人工知能（AI）とSTEAM型カリキュラムが融合した海上ディスカバリーキャンプもあり、5Gネットワークが船全体をカバーしている。
現在、船内の内装作業は85％ほど終わっている。客室は壁や天井、照明器具の内装・取付を終え、今は床の施工作業が行われている。また内装作業のうち、船全体のセメントなどの材料を使用した補助材料による作業はほぼ終わり、客室ごとのインテリアに基づいて、現在はじゅうたんやタイルの内装・取付が行われ、家具も少しずつ搬入されている。
内装が完了した船内の船員用レストラン。（撮影・殷立勤）
このクルーズ船は上海を母港として最初の航海シーズンをスタートし、東南アジアや北東アジアなど周辺国への航路を運航するとともに、「海上シルクロード」などの中・長距離航路の運航もタイミングを見てスタートするという。
内装が完了した医療センター。（撮影・殷立勤）
（編集KS）
「人民網日本語版」2023年6月7日
