江蘇省無錫市は豊かな文化と歴史に彩られた江南地域の都市で、現在はすでに外向型経済が発展し、工業企業数万社が集結し、一人当たりGDP(国内総生産)が中国トップクラスの、現代的で住みやすい都市となっている。人民網取材チームがこのほど無錫を訪れ、この運河の流れる水郷で、有名なビジネス都市の持つ独特の魅力に触れた。人民網が伝えた。
ユーラシア大陸を駆け巡る「鉄のラクダ」
京杭大運河の無錫区間は、北は長江に、南は太湖に接して、その全長は41キロメートル。北側の無錫エリアに入る地点は現在の洛社鎮だ。かつては運河を行き来する商船が中国の南方と北方の間で米やシルク、瓦などを運んでいた。現在では洛社鎮にある無錫西駅から出発する国際定期貨物列車「中欧班列」という「鉄のラクダ」が、ユーラシア大陸を駆け巡って、ロシアやカザフスタンなどの「一帯一路」(the Belt and Road)沿線国に中国製の洗濯機や電気自動車(EV)などを届けている。
無錫西駅物流パーク(写真提供・無錫西駅物流パーク)。
昨年3月から無錫では「中欧班列」が開通し、無錫の対外貿易に「安定化装置」と「加速装置」が提供された。絶えず変化する国際情勢の中、「中欧班列」は無錫の対外貿易の輸出ルートのスムーズな流れを力強く保障し、国際市場の対外貿易物流ルートにとって新たな生命線になった。
無錫市国際貨物輸送班列有限公司の夏林飛総経理は取材に対し、「無錫の『中欧班列』がこれまでに送り出した貨物は延べ2000TEU(20フィート標準コンテナ換算)を超え、貨物価値は5億元(1元は約19.3円)に迫る」と述べた。
世界に寄与する無錫のスマート製造
「力強い産業」が無錫の目立った特徴と言える。ビジネスで名の知られた無錫において、企業は常にもっとも人目を惹くものとなっている。数万社ある民間企業が無錫でビジネスを展開し、イノベーションを行い、発展を遂げて隆盛を誇っている。錫山区にある雅迪電動車もその代表的な企業の1つだ。
雅迪電動車生産管理部門生産第2グループの陳紋グループ長は、「雅迪では部品から完成車まで、スクーター1台を組み立てるのに20分しかかからない。雅迪の工場では、作業員は製造ラインのそれぞれの持ち場を分担して操作し、完成車1台がラインオフするまでかかる時間はわずか20分ほど。製造ラインは11本あり、それぞれ1日にスクーター1000台から1200台を製造する」と紹介した。
雅迪の生産現場(撮影・彭昱凱)。
世界レベルの生産拠点7ヶ所と製造ライン100本を擁し、無錫で誕生した雅迪は、中国のスクーターのリーディングカンパニーであるだけでなく、世界100ヶ国・地域にまでその販路を広げている。雅迪集団海外運営センターの羅明増ディレクターは取材に対し、「『一帯一路』イニシアティブが提起されてからの10年間、雅迪は欧州、中南米・北米、東南アジア、中央アジア、オセアニアなどの市場へ相次いで進出し、ドイツ、米国、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ハンガリー、ルーマニアなど複数の国で事業を展開し、雅迪ブランドの姿を『一帯一路』沿線の多くの国で目にすることができるようになっている。現在、雅迪の4万ヶ所以上あるグローバル直営店が7000万人を超えるユーザーにサービスを提供している」と語った。
未来を見据える「IoVタウン」
自動運転のマイクロバスが地下鉄駅とコミュニティの間を走り回り、センサーが車両を停車位置に誘導するので人間の両手は解放され、自動運転の清掃車が道路上のゴミを正確に識別するなど、無錫南山車載ネットワーク(IoV)タウンでは、「スマートカー」が「スマート道路」を走行し、万物のインターネット(IoE)が机上のアイデアから現実へと転換しつつある。
2022年8月、無錫IoVタウンが開業し、100を超える業界のリーディングカンパニーが集結し、現地のIoV産業の推進のために力強い原動力を注入した。現在、錫山区ではすでに全長295.4キロメートル、両側2車線のスマートコネクテッドカー用道路が完成し、ポイント255ヶ所が改修され、15種類の機能を備えたシーンが形成されている。無錫市第14次五カ年計画IoV産業計画によると、無錫は2025年末にIoV応用シーン200ヶ所の構築を実現し、IoVのユーザー普及率を80%まで向上させ、中国のIoVが次の急成長の段階に入るようリードすることを目指すという。
無錫IoVタウンを走行する自動運転のマイクロバス(撮影・劉寧)。
現代の産業システムにおいて、無錫のモノのインターネット(IoT)産業は世界のトップグループに入っている。2022年にはその産業規模が16.2%増を達成し、産業の売上高は4011億元に達した。
大運河による水のネットワークからデジタル化の波まで、水辺の無錫はこれまでずっと積極的に行動し、時代の先導者となってきた。伝承と革新の間で、無錫は今まさに新時代のビジネス都市、中国式現代化のモデル都市へ向かう途上でより多くの経験を積み上げているところだ。(編集KS)
「人民網日本語版」2023年4月26日