化学兵器禁止機関(OPCW)のアリアス事務局長、各国のOPCW常駐使節・代表からなる代表団計40人余りがこのほど、オンライン形式で「訪中」した。各方面は日本が中国に遺棄した化学兵器の全般的状況や廃棄作業の進展について説明を受け、中国国内でこれまでに見つかった、日本による最大の化学兵器埋蔵地・吉林省敦化市哈爾巴(ハルバ)嶺をオンラインで見学した。代表団は、日本による化学兵器遺棄の問題を強く重視し、できるだけ早期に完全な廃棄を完了し、中国に対する危害を取り除き、「化学兵器なき世界」を築くために的確な努力を払うべきであるとの認識で一致した。(人民日報「鐘声」国際論評)
日本軍は中国侵略戦争において大量の化学兵器を使用し、敗戦を前に犯罪行為を隠蔽するため、大量の化学兵器を現地に埋めたり、河川や湖に投棄したりした。今日、かつて日本軍の戦火に蹂躙された中国の土地において、18の省・自治区・直轄市の120ヶ所余りで日本の遺棄した化学兵器が発見されており、その数は哈爾巴嶺だけでも約33万発に上る。驚愕すべき範囲の広さと数の多さだ。化学兵器の遺棄は日本軍国主義による中国侵略時の重大な犯罪行為の1つであり、中国の関係地域の人々の生命と健康、生態環境の安全性に長期にわたり危害を及ぼしてきた。
中国の土地から日本の遺棄した化学兵器を残さず、徹底的に、完全に除去し、日本による中国侵略戦争の残した危害を除去することは、中国の政府が国民に対して行った厳粛な約束であり、世界反ファシズム戦争の勝利の成果を守るための有るべき筋道でもある。日本による遺棄化学兵器の廃棄に関する中日間交渉は1990年代に始まった。1997年に、化学兵器禁止条約(CWC)が正式に発効。中国の積極的な努力と国際社会の力強い支持の下、CWCは遺棄化学兵器の廃棄に必要な全ての費用、技術、専門家、施設、その他の資源を遺棄国が提供することを明確に定めた。1999年、中日は「中国における日本の遺棄化学兵器の廃棄に関する覚書」に署名。日本の遺棄化学兵器の処理は具体的段階に入った。
しかし、日本による遺棄化学兵器の廃棄作業は順調に進んでいないのが現状だ。CWCの規定により、日本は2007年には廃棄を完了すべきだったが、日本側は事態を十分に重視せず、投入や意欲が足りず、廃棄の進展に重大な遅れが生じている。現在までに6万発余りを廃棄し、9万発余りを掘り起こし、回収したに過ぎない。日本は埋蔵に関する整った正確な手がかりを中国側に提供しておらず、遺棄化学兵器の総数と具体的な埋蔵地点を未だに明確にできない。日本の遺棄した化学兵器は地下に数10年間にわたり埋もれ、早急に処理の必要な大量の土壌汚染をもたらしているが、日本側は責任を負おうとせず、あれこれと逃れ続けている。
今年は中日国交正常化50周年であり、双方にとっては歴史を総括し、未来を共に創造する重要な契機だ。日本による遺棄化学兵器の問題は、日本側が歴史を正視できるか否かが試される場であり、日本側が地域の平和・安定・発展に真に貢献できるか否かを検証する試金石でもある。日本側は、遺棄化学兵器の問題において言動を一致させず、責任を逃れ、その場をしのごうと企てても通用しないのだという事を明確に認識すべきだ。日本が遺棄化学兵器を完全に廃棄するまで、中国国民が責任追及を諦めることはあり得ず、日本側に対する国際社会の圧力は日増しに高まっていくだけだろう。
CWC発効からすでに25年になる。日本による遺棄化学兵器の問題を1日も早く解決し、「化学兵器なき世界」というビジョンを1日も早く実現することを、国際社会は共通して求めている。日本側は国際的義務を尽くす政治的意志、歴史の罪責を贖う政治的勇気を示し、しっかりと取り組みを強化し、日本の遺棄した化学兵器による危害を、できるだけ早期に、残らず、徹底的に、完全に除去し、中国国民にきれいな土地を還すべきだ。(編集NA)
「人民網日本語版」2022年9月19日