中国で初めて見つかった「真銭伯獣」の化石標本。(撮影・孫自法)
中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の科学研究チームが内蒙古(内モンゴル)自治区の大青山で発見した「怪物」の化石が最新の研究により、すでに絶滅した約2億5500万年前のテロケファルス亜目の「真銭伯獣」であることが確認された。初期段階の研究結果によると、この真銭伯獣は関連するドキュメンタリー映画で描写されているような、毒殺し捕食する能力を持たない可能性がある。中国新聞網が伝えた。
これは中国国内で初めて見つかった真銭伯獣の化石であり、世界ではこれまで知られている中で百年近く前の初発見から3点目の化石標本。これまでは南アフリカで2点しか見つかっていなかった。
このほぼすべて揃った、下顎のある頭骨の標本は、同研究所の劉俊研究員のチームがフィールドワーク中に発見したものだ。精密な修復と形態学的比較により、真銭伯獣属と判断された。しかしその形態は南アフリカの化石標本と違いがあるため新種を設けた。そして学界の慣例に基づき、発見者の名字をとり「劉氏真銭伯獣」と名付けられた。
劉氏は取材に対し、「真銭伯獣という太古の動物の頭長は、今まで確認されているものの中で最大10センチメートルほどで、最も独特なテロケファルス亜目だ」と説明した。英BBCのドキュメンタリー「Walking With Monsters」の中で、リストロサウルスが真銭伯獣と呼ばれるテロケファルス亜目に捕食される。そしてコモドオオトカゲのように獲物を毒殺するのだ。それでは真銭伯獣は毒腺を持つテロケファルス亜目なのだろうか。研究チームは真銭伯獣に毒腺が存在するかについて検討を行った結果、劉氏真銭伯獣の現在の形態学的研究は、前上顎骨窩に毒腺ではなく臭腺が入っていたという仮説を支持している。そのため、真銭伯獣はドキュメンタリーが描いたような成年リストロサウルスを毒殺しそれを捕食する能力はない可能性があるとの見方を示した。
劉氏は、「南アフリカから遠く離れた中国で3点目の真銭伯獣の頭骨の化石が見つかるとはやや意外だったが、二畳紀後期にとっては正常だ。これまで新疆で南アフリカに多いディイクトドンが見つかっており、内モンゴルの大青山でもスコットランドで初めて見つかったエルギニア、ラオスで初めて命名されたラオスワニなどの動物の化石が見つかっていた」と指摘した。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年7月15日