バーチャルアイドルは今、若者の間で非常に人気がある。中国の調査会社・艾媒諮詢(iiMedia Research)が行なった調査研究によれば、中国のバーチャルアイドルファンは、19-30歳の若者の占める割合が63.4%と高い。これと同時に、調査に回答したネットユーザーで「毎月バーチャルアイドルに使う金額は200元(約4千円)以下」と答えた人は37.2%に上り、「バーチャルアイドルを応援するためにもっとお金を使う」は24.8%に上った。
今、バーチャルアイドルを語ろうと思えば、「中の人」という言葉を避けて通ることはできない(「中の人」とは日本語からきた言い方で、バーチャルパーソナリティの声や動きなどを担当する人のことを指す)。「中の人」がセンサーを付け、バーチャルパーソナリティのキャラクター設定に沿って、ライブ配信の中でそのイメージで動いたり、歌ったり踊ったり、話をしたりすると、モーションキャプチャ技術によってリアルタイムでの双方向のやりとりが実現する、という方法が一般的だ。
以前、スター芸能人のファンの間でこんな言い方が流行った。「最初は見た目に惹かれて、次は才能に惹かれて、そして人柄に惚れ込んだ」。今、バーチャルアイドルにも同じような言い方がある。「AI(人工知能)を使ったライブ配信は、つまるところはコードがつながっているだけ」。「95後(1995年から1999年生まれ)」の留学生のアンディさん(仮名)はかなり年季の入ったバーチャルアイドルファンで、「『中の人』はアイドルに人間らしさを与え、見た目に惹かれてやって来たファンを本当に虜にするものだ」と話す。
初期の代表的なバーチャルアイドルのキズナアイを例にすると、2016年11月末に動画サイトにチャンネルを開設すると、わずか4ヶ月で約40万人のフォロワーを獲得したが、運営会社が「4人のキズナアイ」という分身計画を打ち出し、「中の人」を増やしてみたところ、フォロワーからブーイングが起り、「最初の『中の人』しか認めない」との声が次々上がり、1年に及ぶ騒動の中でたくさんのファンが去っていった。
多くのファンを取材してわかったのは、彼らが「寄り添う」、「交流」、「友だち」といった感情を含む言葉をよく使うことだった。多くのファンが、バーチャルアイドルは見た目という「皮」(ガワ)と中身という「魂」が一体にならなければ、血の通った生き生きしたキャラクターにはならないとの見方を示す。
そこで「顔バレ・身バレ」(「中の人」の正体が明らかになること)について、前出のアンディさんは「多くの場合、ファンは『中の人』について自然に知るようになるが、彼らを守るため、正体をばらすようなことはしない」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年7月7日