青蔵高原(チベット高原)を中心とする第三極には、世界で南極・北極に次ぐ規模の固体の水が残されている。これはアジアの十数本の大河、数千を数える大小の湖沼の源だ。地球上の20億人近くを養い、「アジアの給水塔」とも呼ばれる。第2回青蔵科学調査・第三極環境研究に従事した科学者らはこのほど、アジアの給水塔のバランスの乱れについて体系的に説明し、「nature reviews earth & environment」に最新の研究成果を発表した。科技日報が伝えた。
研究によると、アジアの給水塔のバランスの乱れには主に▽固体の水が急激に融解しており、液体の水が増加傾向を示している▽液体の水の増加が主に北部内流エリアに集中しており、南部外流エリアの一部流域の液体の水が減少傾向を示している――といった特徴がある。
研究者はアジアの給水塔のバランスの乱れの原因を詳細に分析した。第三極の急激な温暖化により、アジアの給水塔の氷河などの固体の水と湖沼、河川などの液体の水の残存量の割合が変わると同時に、第三極の大気環流の変化によってその残存する水域の空間構造が変わったとの見方を示した。同研究の共同著者で、中国科学院青蔵高原研究所研究員の高晶氏は、「西風の強まりとインドの季節風の弱まりにより、北部内流エリアの降水量が増え、南部外流エリアの降水量が減少した」と述べた。
アジアの給水塔の南部外流エリアの水供給は減少傾向を示している一方で、南部外流エリア川下エリアの水の需要が急増している。同研究の共同著者で、北京大学教授を務める中国科学院院士の朴世龍氏は、「急増する水の需要と限りある水供給の間の問題は、南アジアと東南アジアの水資源が直面している深刻な問題だ。この地域には持続可能な水資源管理政策と効率的な水資源利用技術が必要だ」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年6月8日