ロシア・ウクライナ紛争がエスカレートすると、米国と欧州はロシアに対する制裁を絶えず拡大し、あの手この手を繰り出している。金融制裁を実施し、ロシア機が領空を飛行するのを禁止し、エネルギー分野でロシアへの新たな投資を禁止した……
ロシアに対する制裁で、欧州は米国に同調し、両者はますます歩調を合わせている。しかしこの過程で、欧州は計り知れない困難を抱え込むことになった。
かつてない食糧危機
戦争の影響により、農産物輸出大国のロシアとウクライナはいずれも食糧輸出量が減少する見込みだ。ウクライナ農業省はこのほど、「ウクライナの2022年春の作物の作付面積は21年に比べて50%以上減少する可能性がある」と発表した。
「欧州の食糧倉庫」が急を告げ、食糧供給の不足が拡大して、食糧価格の高騰をもたらした。欧州委員会が発表したコメントによると、食糧価格高騰により欧州の低所得世帯が食糧を手に入れられなくなる可能性がある。実際、食糧だけでなく、化学肥料、飼料、燃料等の価格も大幅に値上がりしており、欧州の農業生産コストが急激に増大しているという。
ガス・電力価格も高騰
欧州連合(EU)のエネルギー供給はロシアへの依存度が高い。天然ガスを例にすると、ロシアは21年にEUの天然ガス輸入の45%を担い、ロシア・ウクライナ紛争は欧州の天然ガスの安定供給に確実に重大な脅威をもたらした。
天然ガスの供給不足が欧州のガス価格の飛躍的な値上がりをもたらした。これと同時に、スペインやドイツをはじめとするEUの主要エコノミーでは、ガス価格に連動して電力価格も値上がりし、たびたび過去最高価格を更新している。
ガス価格と電力価格の不合理な高騰により、欧州の企業の製造コストと国民の生活コストも大幅に増大した。
石油・天然ガス供給の非常事態と価格の高騰という2つの問題に苦しむ欧州は、エネルギー供給源を増やし、エネルギーのモデル転換ペースを加速しようとしているが、これまで過度にロシアに依存してきたことによる現実的なリスクを短期間で解消することは難しい。
インフレが激化
ロシア・ウクライナ紛争の下、エネルギー価格の上昇がユーロ圏の短期的なインフレ拡大リスクを高め、さらに食糧価格の上昇が火に油を注いでいる。
ユーロスタットのまとめたデータでは、EUの2月全体のインフレ率は前月の5.6%から上昇して6.2%になり、過去最高を更新した。
最新のデータでは、スペインの3月のインフレ率は9.8%に達し、37年近くぶりの最高を更新した。ドイツの3月のインフレ率は7.3%で、経済学者の予測を上回った。
欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は、「ロシア・ウクライナ紛争がエネルギー価格と食糧価格を押し上げるのに伴って、ユーロ圏のインフレ率が今年は7%を超える可能性がある」と警告した。
欧州が深刻なインフレ圧力と経済下ぶれリスクに直面する中、グローバル経済もより不確実な方向へ向かうことに疑問の余地はない。(編集KS)
「人民網日本語版」2022年4月1日