青蔵高原(チベット高原)と北極・グリーンランドの灌木の更新状況の比較と研究により、中国科学院青蔵高原研究所生態系構造・過程チームは、持続的な気候温暖化が高標高・高緯度地域の灌木林の更新を抑制している、または遅らせていることを発見した。関連する研究成果は23日、「米国科学アカデミー紀要」にオンライン掲載された。科技日報が伝えた。
灌木は分布範囲が最も広く、限界が最も北にある木本植物だ。灌木林の植生が気候に依存するため、気候変動に対して高い感度を持つ。灌木個体群の更新は、生態系の健全性と安定性を理解するための重要な指標を提供する。
研究者は青蔵高原とグリーンランドの2700本の灌木の長期更新データ集及び1871年から2010年までの両エリアの大気還流モデルの関係を比較した。研究によると、1930年代頃に青蔵高原中南部では灌木の更新がすでに個体群更新のピークを迎えていた。グリーンランドの灌木の更新も1960年代頃にピークを迎えた。その後、両地域の灌木の更新は顕著な減少傾向を示した。
また研究によると、気温上昇がすでに灌木更新の最適の閾値を超えている。ここ数十年の気温上昇、大気還流の変化により深刻化した水分の脅威は、灌木の更新低下の鍵となる制約要素だ。論文の連絡著者で、中国科学院青蔵高原研究所の研究員である梁爾源氏によると、今後も続く温暖化は灌木の境界の拡張をさらに制限すると述べた。
梁氏は、「この研究成果は高地寒冷地帯の生態系の温暖化への対応に効果的な早期警戒情報を提供し、温暖化を緩やかにすることが世界のカーボンニュートラルに対する普遍的意義を強調した」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2022年2月25日