中国核工業集団有限公司によると、中国南方エリア初の原子力を活用した熱供給プロジェクト「浙江海塩原子力熱供給モデルプロジェクト(一期)」が3日、浙江省海塩県で正式に稼働した。熱供給面積は46万平方メートルで、約4000世帯が集中暖房システムを利用できるようになった。第14次五カ年計画(2021‐25年)期間の終盤にはプロジェクト全てが完成し、熱供給面積は約400万平方メートルに達する見込みだ。
稼働が始まった浙江海塩原子力熱供給モデルプロジェクト(画像は取材対応者が提供)。
中国核工業集団有限公司の劉敬副総経理によると、同プロジェクトは同社の秦山原子力発電拠点のユニットの余剰熱を活用しており、ユニットの原有の発電量や安全性に影響しないことを前提に、海塩県の公共施設、団地、工業パークなどに安全で二酸化炭素排出ゼロで、経済的な原子力熱供給を大規模に提供し、現地の住民や地方政府、原子力企業、生態系保護など、多くの分野との「ウィンウィン」を実現するほか、南方エリアの大規模集中熱供給プロジェクトの建設においてモデル的役割を果たす。
南方エリアでは現在、電気を使って暖を取るのがメインとなっており、同プロジェクトが全て完成し、稼働が始まると、電気を年間約1億9600万KW節約することができると試算されている。また、石炭を使った火力発電ユニットは毎年、約2万4600トンの標準石炭を節約できると試算されている。そして、二酸化硫黄の排出を毎年1817トン、窒素酸化物の排出を908トン、二酸化炭素の排出を5万9000トン削減できると試算されており、環境保護に大きく寄与すると期待されている。
世界で稼働中の原子炉約400基の1割以上のユニットでコージェネレーション(熱電併給)を実現しており、安全に稼働している。このように、原子力の熱供給テクノロジー・ロードマップ は成熟し、世界的に広く応用されている。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年12月7日