「中国炭素衛星」、初の世界炭素フラックスデータ集を取得

人民網日本語版 2021年08月16日14:28

中国科学院大気物理研究所が15日に明らかにしたところによると、中国初の世界二酸化炭素(CO2)モニタリング科学実験衛星「中国炭素衛星」の大気中CO2濃度観測データに基づき、同研究所などの研究者が先進的な炭素フラックス計算システムを利用し、中国炭素衛星初の世界炭素フラックスデータ集を取得した。これはマイルストーン的な結果で、中国が世界炭素収支の空間定量モニタリング能力を備えたことを示しており、世界で日本と米国に続き3番目に同技術を確立した国になった。関連する研究成果は学術誌「Advances in Atmospheric Sciences」にオンライン掲載された。科技日報が伝えた。

同研究所の楊東旭副研究員は、「大気探査と模型シミュレーション技術の飛躍的な発展に伴い、大気中のCO2濃度観測による炭素排出源を明らかにする方法は、温室効果ガスの排出削減の成果を評価する効果的な方法とされている」と述べた。

大気中のCO2濃度測量法は観測とシミュレーションに依存している。観測の面では、衛星リモートセンシングは特殊な観測地点や手段により、CO2の世界観測において大きな役割を果たせる。特に世界を網羅する高分解能観測において、より広くはっきり見ることができる。一方、シミュレーションの面では、主に大気輸送模型を通じ、高性能コンピュータを利用し大気中のCO2移動プロセス及びすべての時とエリアにおける大気中のCO2の濃度をシミュレーションできる。

大気中のCO2濃度を観測するため、日本は2009年に世界初の温室効果ガス専用の観測衛星「GOSAT」を打ち上げ、米国の観測衛星「OCO-2」がその後2014年に打ち上げられた。中国炭素衛星は2016年12月22日に酒泉衛星発射基地から打ち上げられ、軌道上を周回し、世界3番目の温室効果ガス衛星になった。世界中の大気のCO2濃度の高精度モニタリングを実現し、炭素排出の科学研究に衛星資料を提供するのが目的だ。

楊氏は「自国の炭素衛星を擁するようになった後、ある時とあるエリアにおけるCO2濃度の観測値とシミュレーション値を取得した。この2つのデータには必然的に差が存在する。誤差を減らすため『データ同化法』を使い、最も実際に近い数値を得る」と述べた。

この研究において、研究者は炭素同化システムと世界の化学移動モデルを結びつけ、衛星観測データとシミュレーション値の同化に成功し、最も実際の状況に近い数値を取得した。研究結果によると、先にフラックスを検査するよりも不確実性が30-50%低下した。

さらに重要なのは、科学研究者が中国炭素衛星の観測資料を利用し、2017年5月から2018年4月の12ヶ月にわたる世界陸地炭素正味フラックスを見積もった結果、日本のGOSAT衛星と米国のOCO-2衛星の資料の見積もり結果とほぼ一致したことだ。これは中国初の炭素衛星が世界炭素フラックスモニタリングの能力を取得したことを示している。(編集YF)

「人民網日本語版」2021年8月16日

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