中国と米国の科学者は、現在ハンセン病の治療に用いられている薬品のクロファジミンが、ヒト細胞とハムスター実験モデルの中で効果的に新型コロナウイルスの感染に対抗することを発見した。クロファジミンは内服薬で、生産コストが相対的に低い。これらの特徴により非常に魅力的な新型コロナウイルス治療候補薬となっている。同ウイルス学の研究成果は、17日付の英誌「ネイチャー」に掲載された。科技日報が伝えた。
現段階では広く使用可能な、ヒトのコロナウイルスの特異性に的を絞った抗ウイルス療法が存在しない。中国の香港大学及び米国のサンフォードバーナムプレビス医学研究所の科学者らは今回、クロファジミンの抗コロナウイルスの有効性を分析した。この薬品はらい菌の核酸代謝に干渉する二次ハンセン病治療薬で、主にらい腫型と境界群の治療に用いられ、患者の発作の反復を抑制でき、そしてアメリカ食品医薬品局に承認されている薬品でもある。
研究チームは、クロファジミンがヒトとサルの細胞及びヒトの肺の中で、新型コロナウイルスと中東呼吸器症候群コロナウイルスという2種類のコロナウイルスの複製を抑制することを発見した。研究者はさらにクロファジミンの抗ウイルス性の分析において、この薬品が細胞融合プロセスとウイルスのヘリカーゼの活性への干渉など新型コロナウイルスの複製における複数のステップに効果があることを観察した。
研究結果によると、新型コロナウイルスに感染したハムスター実験モデルのうち、ウイルス曝露前または曝露後にクロファジミンを使用することで、肺のウイルス粒子の数を大幅に減らすことができる。抗ウイルス薬のレムデシビルと同時に使用すると、2種類の薬品はウイルス複製の抑制で協同作用を発揮する。低量のレムデシビルとクロファジミンを配合することで、ハムスター実験モデルのウイルス抑制効果を改善できる。
これまでの研究では、レムデシビルの単独使用による新型コロナウイルスの治療効果は理想的ではなかった。世界保健機関(WHO)も、レムデシビルが患者の生存率を高めるまたは患者の人工呼吸器への需要を減らすことなどは証明されていないと発表していた。
研究者は、クロファジミンが新型コロナウイルスの外来治療の魅力的な治療候補薬になり、現在の新型コロナウイルスのパンデミックの抑制及び未来の新型ウイルスへの防備に対して重要な役割を担う可能性があると見ている。現在はより多くの臨床研究により、候補の治療法になりうるポテンシャルを持つかを確かめる必要がある。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年3月19日