ポストコロナ時代の中国で新しい職業台頭へ

人民網日本語版 2021年03月02日11:05

80後(1980年代生まれ)の女性・王薇さんは、寧夏回族自治区銀川市で初となるプロの収納整理アドバイザーだ。年初からの2ヶ月間で、王さんは繁忙期を迎え、「予約がひっきりなしに入っている。引っ越しして、全ての片付けをしてほしいという問い合わせもあり、手が回らない。最近、手伝ってくれる人を募集しているほか、共同起業者も探している」と話す。中国新聞社が伝えた。

春節(旧正月、今年は2月12日)が終わり、大学での新入社員募集説明会や春季新入社員募集などがピークを迎えている。取材では、エレクトロニック・スポーツ(eスポーツ)やインターネットマーケティング担当者、収納整理アドバイザーなどの、新興職業の注目度が高まる一方となっていることが分かった。浙江工商大学4年の馬圓圓さんは、「仕事を見つけるのは難しい。伝統的なポストは減っている。もし、新しい職業でも、楽しく仕事ができ、給料も良ければ、是非チャレンジしたい」と話す。

伝統的な観念では、労働者は定時出社・退社できる安定した仕事を好む。しかし、就職の競争が熾烈になるにつれて、新世代の労働者の考え方や観念にも変化が生じており、「安定」や単調な仕事にこだわらず、新しい職業に目を向けて、本当に好きで、自分の長所を発揮できる仕事を好むようになっている。

王さんが従事する収納整理アドバイザーは近年、人気が高まりつつある新しい職業の一つだ。

収納整理業界は1980年代に米国で誕生し、欧米や日本、韓国などの先進国でも流行するようになった。中国では今、ECや物流が急速に発展するにつれて、家の中に物があふれているという人が増えている。そして、居住空間の物品が急速に増えてあふれ、空間と物品と人とのバランスが崩れ、人々は空間整理に対する新たな認識を抱くようになっており、効率的、かつプロフェッショナルに収納、整理するために喜んでお金を払う人も増えている。

収納整理アドバイザーになって2年という王さんが一番よく聞かれるのが、「家の清掃代行との違いは?」という質問という。王さんは、「清掃代行は『汚い』という問題を解決するのに対して、収納整理アドバイザーは『散らかっている』という問題を解決する」と説明する。

そして、「多くの人が、毎日片付けをしているのに、なぜ家の中がいつも散らかっているのか」と悩んでいる。プロの整理アドバイザーは物品、空間、人のバランスを整える。空間を活用して、物品の数を、物品の数を通して人の欲望を抑制する。合理的な空間計画、便利な収納物品、簡単な整理方法を組み合わせなければ、常に片付いている家は実現できない」と話す。

掃除屋と違い、プロの整理アドバイザーは空間計画や陳列美学、ファッション、ぜいたく品、心理学などを学ばなければならない。整理プラットフォーム「留存道」が新浪楽居財経と共同で発表した「2020中国整理業界白書」の調査によると、中国全土には現在、プロの整理アドバイザーのトレーニングを受けた人が約7000人いる。2019年から2020年にかけて、中国全土の新規プロ整理アドバイザーは2200人以上で、プロの整理アドバイザーの9割近くが高等教育を受けている。

収納整理業界が台頭しているのと同じく、中国のワイン市場が成長するにつれて、ワイン関連の新しい職業も三・四線都市で登場するようになっている。

寧夏大学ブドウ・ワインエンジニアリング学部を卒業した後、プロのソムリエになった張博華さんは、「主に、レストランに酒とドリンクのコーディネイトサービスを提供するのがその仕事で、多くの人が考えているようなウェイターではない。伝統的な評価基準には弊害があることが明らかになっている。新しい職業に従事する人の成長に影響を与える『天井』を打破するためには、観念を変え、みんなが新しい職業を正しく理解するようにしなければならない。新しい職業の健全な発展計画を構築しなければ、新しい職業の健全な発展を守れない」と指摘する。

中国人力資源・社会保障部(省)の李忠近副部長はこのほど、「中国は今年、『中華人民共和国職業分類大典』を改訂し、新しく誕生した職業をそこに盛り込み、中国の国情に一層マッチした現代職業分類にする」と明らかにした。

これに対し、寧夏大学法学院の党委員会書記・潘瑞氏は、「新しい職業関連の国家職業技能基準やランクを発表すれば、労働者は安心してその仕事に打ち込むことができる。また、関連の肩書を持つ技術者は、職業を選択する時により多くの優位性を備えるようになる。新しい職業の発展体系を整備する過程で、各レベルで就業サービス管理政策を改訂することが必要だ。そうすることで、労働者のために、より幅のある就業環境を作り出し、新業界、新業態などにさらに大きな発展の可能性を与えることができる。そうなれば、人材市場を活性化させることにつながる」との見方を示す。(編集KN)

「人民網日本語版」2021年3月2日

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