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世界最大の自由貿易圏RCEPが誕生 その深い意味とは?

人民網日本語版 2020年11月17日09:32

8年にわたる「長距離走」を経て、ついに世界最多の人口を擁し、世界最大の経済規模を誇る、世界で最も発展のポテンシャルを秘めた……そんな自由貿易圏が誕生した。15ヶ国が参加した地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が15日、RCEP第4回首脳会合で署名され、これにより世界最大の自由貿易圏が誕生した。新華網が伝えた。

協定への署名にはどのような重要な意義があるか。どのような注目点や見どころがあるか。中国の「2つの循環」の新たな発展局面にとってどのような意味をもつか。商務部(省)の王受文副部長兼国際貿易交渉副代表は同日、次のように解説した。

地域経済の一体化を推進グローバル経済への信頼感醸成を促進RCEPはASEANが2012年に発案したもので、交渉は8年に及んだ。今年に入ると、交渉参加国は新型コロナウイルス感染症による困難を克服して、市場参入の交渉を全面的に完了し、1万4千ページに及ぶ法律文書の精査を終え、最終的にこの日の首脳会合で予定通りに調印する運びとなった。

王氏は、「これはつまり、現在の世界で人口が最多、経済規模が最大、発展のポテンシャルが最高の自由貿易圏が始動したことになる」と述べた。

RCEPの加盟15ヶ国の総人口、経済規模、貿易額はいずれも世界の約30%を占める。これは世界の経済規模の約3分の1を占める、一体化した大規模市場が構築されることを意味する。

王氏は、「RCEP協定への調印は、東アジア地域の経済一体化にとって新たな一里塚だ。これで地域の貿易・投資への信頼感を力強く醸成し、産業チェーン・サプライチェーンを強化し、各方面が協力しての感染症対策の能力を向上させ、各国の経済回復を後押しするとともに、この地域の長期的な繁栄・発展を促進する。同時に、将来はアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)のプロセスに現実的なルートと強力なバックアップを提供することになる」と述べた。

またRCEPは実際の行動で貿易投資の自由化、円滑化を支援して、グローバル経済の信頼感醸成を促進する。王氏は、「RCEPへの署名はすべての加盟国が関税引き下げ、市場開放、標準をめぐる障壁の削減を約束したことを意味し、一国主義と保護主義に反対するとの強いシグナルを発し、また自由貿易と多国間貿易体制を力強く支持して、グローバル経済に対するポジティブな予想の形成を後押しし、グローバル経済のポストコロナ時代における回復を牽引するものとなる」と述べた。

全面的、現代的、質が高い、互恵の自由貿易協定

王氏は、「RCEPは現在の世界最大の自由貿易協定(FTA)であるだけでなく、全面的、現代的、質が高い、互恵の自由貿易協定でもある」と述べた。

——RCEPは全面的な協定だ。協定文書は20章からなり、物品貿易、サービス貿易、投資などの市場参入を含むだけでなく、知的財産権、電子商取引(EC)、競争政策、政府調達などに関するルールや内容も多い。貿易・投資の自由化、円滑化のあらゆる面をカバーしている。

——RCEPは現代的な協定だ。原産地規則の累積を採用し、地域の産業チェーン・サプライチェーンの発展を支援する。新技術を採用して税関の円滑化を促し、新しいタイプの国境を越えた物流の発展を促す。ネガティブリストを採用して投資参入の約束を行い、投資政策の透明性を大いに引き上げる。協定には高い水準の知的財産権やECに関する章も導入され、デジタル経済時代のニーズに応える。

——RCEPは質が高い協定だ。物品貿易の関税撤廃対象品目の数量は全体の90%を超えた。サービス貿易と投資の開放水準は既存のASEANと中国による「10+1」FTAをはるかに上回る。同時に、RCEPには中日、日韓の2つの重要な国家間の自由貿易関係も新たに加わり、地域内の自由貿易レベルが著しく上昇した。国際的シンクタンクの試算では、25年にRCEP加盟国の輸出増加率はベースラインを10.4%上回るという。

——RCEPは互恵の協定だ。RCEP加盟国には先進国もあれば、発展途上国も後発開放途上国もあり、加盟国間の経済体制、発展レベル、経済規模の開きは非常に大きい。RCEP協定は各方面の要求に最大限配慮し、物品、サービス、投資などの市場参入とルールの上で利益のバランスを実現した。また後発開発途上国に特恵待遇を与え、中小企業と経済協力及び技術協力の2章を特別に設け、発展途上の加盟国の能力形成の強化を支援し、この地域の包摂的でバランスの取れた発展、RCEPの成果の共有を促進する。

中国の「2つの循環」の新たな発展局面の加速的形成を後押し

世界に向けた高い標準のFTAネットワークを構築する——第14次五カ年計画の中で、「高い標準の対外開放を実行し、協力・ウィンウィンの新たな局面を開拓する」ことについて明確な規定が打ち出された。

FTA戦略の実施を加速するのは、中国の新たな対外開放の重要な内容だ。RCEP署名後、中国が対外的に署名したFTAは19件になり、自由貿易パートナーは26に増えた。このことが中国のFTAネットワークの「実質の価値」を大いに高めることは確実だ。

王氏は、「RCEPを通じて中日FTAパートナーシップを新たに構築すれば、中国とFTAパートナーとの貿易額のカバー率は現在の27%から35%に上昇する」と述べた。

RCEP加盟国はすべて中国の重要な経済貿易パートナーだ。商務部(省)のデータでは、20年1-9月に中国と他のRCEP加盟国との貿易額は1兆550億ドル(約110兆1842億円)に達し、中国対外貿易総額の約3分の1を占めた。

王氏は、「RCEPの妥結は中国の輸出市場の可能性を拡大し、国内の輸入消費ニーズを満たし、地域の産業チェーン・サプライチェーンを強化するのに役立ち、対外貿易の安定と外資の安定にプラスに働き、国内の大きな循環を主体としつつ、国内と国外の2つの循環が相互に作用し合う新たな発展局面を形成するための有効な支えを提供することにもなる」と述べた。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年11月17日

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