盛り上がりを見せる今年の米国の大統領選挙と連邦議会選挙は、まさに米国政治の金権性を強く物語るものとなっている。「Center for Responsive Politics」によると、両選挙にかかる費用は過去最大の140億ドル(1ドルは約103.5円)近くとなる。いくつかの国のGDPを上回りさえするこれらの費用において、大統領選は総額66億ドルに達し、連邦議会選は70億ドルを上回る見通しだ。(文:葉燭。人民網掲載)
米国が新型コロナウイルスの感染拡大に深く苦しんでいる時に、大統領選の両候補者はテレビ広告などメディアを通じた宣伝に巨額を投じている。金銭が得票の「源泉」である以上、米政府は富豪の代弁者となることが選挙開始当初から運命づけられている。ロシアの通信社スプートニクが報じたように、大企業や特殊利益集団が大金を寄付するのは、それ相応の見返りを得るためだ。
米連邦法は200ドル以上の献金者情報の公表を各党・政治活動委員会に義務付けている。8月末までに、今回の選挙のために200ドル以上の献金をしたのは280万人で、米国の総人口のわずか0.86%にすぎない。これらは選挙資金の74%にあたる。1万ドル以上の献金者となるともっと少ない4万4000人で、総額は約23億ドルとなる。そしてわずか2635人だけで総額14億ドルの献金を行っているが、この大口献金者は全体の0.0001%にすぎない。
英ニュースサイト「Conversation」に10月13日に掲載されたコロンビア・ロー・スクールのRichard Briffault教授の寄稿によると、選挙での個人献金の大多数は社会のごく一部の人たちによるものだ。このごく一部の富裕層が選挙を資金面で支えることによって、政治のプロセスが歪められている。これは金銭と引き換えに票を得るというよりも、選挙後に政治家が大口献金者の利益に反する立場を取ろうとしなくなり、米国の立法プロセスが献金者によって左右されることを意味する。
このためパンデミックの中でのホワイトハウスの新型コロナ政策は、科学的な感染対策の知識をテレビ広告で伝えることを余りせず、大多数の人々の命を厳格な措置によって守ることもしないものとなった。医療業界が連邦議会議員1人あたり5人のロビイストをつけただけで、議会の可決する新型コロナ対策法案における薬価抑制規定は弱められるか、削除されることになった。選挙の最中の11月4日でさえも、米国における新型コロナウイルスの新規感染者数は10万人を超えて過去最多を記録した。
米国政治の天秤ばかりの片方の皿には、新型コロナで死亡した20数万人と医療保険のない市民3000万人を含む99.999%の普通の人々がいる。そしてもう片方の皿には、人数は少ないが米国政治の大口献金者がおり、政治家やごく少数の富豪、大企業や集団の利益が交錯しているため、人命をもってしても太刀打ちできない重さになってしまっている。
これが今年の選挙では変えようのない金権政治だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年11月9日