2020年第3回中国国際輸入博覧会が10日閉幕した。2千社を超える出展企業のうち、日系企業が5分の1を占め、その展示品は中国市場にぴたりと寄りそうもので、5G、医療・介護、インテリジェント・マニュファクチャリングが注目点だった。(文:陳言・日本企業(中国)研究院院長)
国際経済情勢や2020年の新型コロナウイルス感染症の流行などの影響、さらには中国工業生産能力の急速な向上により、中国経済が解決を必要とする問題がここ数年の間に大きく変化した。日系企業も中国に家電製品や工業製造ラインを輸出する段階を経て、中国市場の新たなニーズを満たす必要に迫られるようになった。輸入博で日系企業が打ち出した展示品から、日系企業に関わる情勢の最新の変化を読み取ることができる。
中国企業は5Gに関する特許を数多く有するが、米国などから圧力を受けている。今年の輸入博会場で日本の富士フイルムの展示ブースをのぞくと、最初に目に入るのは同社が打ち出す5G産業の発展をサポートする技術だった。「5G+8K」の超高精細動画産業の発展に寄与する8K放送用レンズ、複数の図書館の図書データを長期保管する、または数万本の映画データのアーカイブ用フィルムなどがあり、日系企業が5G時代に打ち出したレンズやストレージの技術が中国企業に向けて展示されていた。他社のブースでは、日系企業が自動車分野で打ち出した自動運転などに使用する5Gガラス、半導体部品の生産過程でのフォトリソグラフィやパッケージングの技術などが展示されていた。中日企業には5G分野で幅広い協力の可能性がある。
中国には百度(バイドゥ)や阿里巴巴(アリババ)などのIT(情報技術)プラットフォームがあるが、中国のITプラットフォームと中国の製造業との結びつきはまだ初期段階にある。日本の多くの工業生産技術はすでにインダストリアル・インターネットと結びつき、スマート化された生産管理システム、物流管理システムは、今回の輸入博の日立のブースで詳しく紹介されたのだ。自動化の面では、日系企業が製造したロボットが大いに注目を集めた。中国の生産技術が向上すれば、ロボットやインダストリアル・インターネットなどの分野で今後、日系企業との協力の可能性は大きい。また今回の輸入博では中日の技術者や企業家の間で熱心な議論が交わされ、そこに非常に大きな協力のチャンスを見ることができた。
技術の進歩によって生活レベルが向上し、生活レベルが向上すると医療をはじめとする新たな需要が生まれる。20年には感染症が中国社会の医療・医薬分野のニーズをさらに押し上げた。今回の輸入博で、富士フイルムは開発中の抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」を詳しく紹介した。この薬は、日本で新型コロナの非重症患者を対象に実施した臨床試験で、症状の改善を加速させることが証明された。同社の責任者は、「この薬は中国企業と協力を進めているもので、中国とともに新型コロナに立ち向かいたい」と述べた。医療機器については、富士フィルムは内視鏡や超音波画像診断装置(エコー)など各種医療製品の世界的メーカーであり、今回は関連の技術や製品も詳しく紹介した。またいくつかの日系企業が世界初の粒子線がん治療システムを展示した。
介護分野では、パナソニックが集中的に展示した製品の中に、一部が分離して車椅子になるベッドや高齢者を支援する歩行トレーニングロボットなどがあった。
日系企業が博覧会に出展した製品から、中日経済協力はすでに鉄鋼や家電といった従来型産業の段階を通り過ぎ、5G、インテリジェント・マニュファクチャリング、医療などの新たな産業、また介護などこれから最も発展の可能性がある産業が企業の展示の重点になっただけでなく、今後の中日経済協力の重要な分野にもなることがうかがえた。(編集KS)
「人民網日本語版」2020年11月13日