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100-200メートルほどの横町には10数軒のバーがひしめき、街角の串焼きの店には若い男女が集まり、顔をほてらせながら食事を楽しんでいる。食べたり飲んだりは一番お手軽な消費だ。その一方で、ショッピングモールの20数万平方メートルの空間には、若者の消費文化がまるでショーウィンドウのようにずらりと並んでいる。革の財布を手作りして暮らしへのこだわりを表してもいいし、ジムに行くごとに料金を支払って自分の体を管理することへのこだわりを示してもいいし、数十匹の猫と午後の時間を過ごしてもいいし、自分に似合う眉毛を特別にオーダーしてもいい。ショッピングモールは夢の暮らしを提案する場所であり、幸福感を作り出す場所だ。
もちろんこうした体験をするには100元(1元は約15.4円)くらいの、あるいはもっとたくさんのお金が必要だ。一部の都市では若者のホワイトカラーは給料の3分の1から2分の1を家賃に充て、食事は毎食デリバリー、大作映画がかかれば見ないわけにはいかず、新しいスマートフォンが発売されれば機種交換しないわけにもいかないという状態だ。「中国のバレンタインデー」とも呼ばれる旧暦七夕や「520」(5月20日)、そしてネットショッピングイベント「ダブル11」など、誰かへのプレゼントか自分へのご褒美を買うショッピングイベントも目白押しだ。
90後(1990年代生まれ)は1人あたり平均12万元もの負債を抱えるという。このデータはいささか大げさかもしれない。だが、彼らの多くは従来の意味での貧乏人ではないまでも、「ニュープアー」と呼ばれている。高等教育を受け、一定の美意識をもつ一方で、経済力はブルーカラーと大差なく、都市の周辺に暮らす若者たちだ。
「ニュープアー」たちは往々にして消費観と生活状態の矛盾に直面している。一方では、データが示すように、35歳以下の若い中国人は、老後のための貯蓄を始めていない人が56%に上り、一部の若者は「貯蓄ゼロ、負債多額」だという。その一方で、2019年のショッピングイベント「ダブル12」のデータが示すように、90後はこのイベントで前年より27億回も多く買い物したといい、中国全体の90後が1人あたり平均10回多く買い物した計算になる。花唄や白条などの消費者金融かクレジットカードを利用しながら、バスケットシューズや口紅を爆買いしている90後は、今や明らかに次世代の消費の中心だ。
90後が「ニュープアー」になった原因は主に2つあると考えられている。1つ目は彼らが親たちのように貧しい時代を経験していないこと。2つ目はフィンテックがお金を借りる便利な手段を提供してくれていることだ。信用記録に問題がなければ、基本的に彼らは借りようと思えばすぐにお金を借りられる状況にある。この「ニュープアー」の消費を分析してみると、旅行、健康作り、贅沢品、自動車、ペットなどに集中していることがわかる。全体としていえるのは、いずれも純粋な消費行動ということだ。そしてこうした現象には警戒が必要だ。
90後の過剰な消費をあおる企業もある。