秦腔は、中国西北部の伝統劇で、その歴史は秦朝(紀元前221年‐206年)まで遡ることができ、歌やセリフは陝西省中部の関中地区の方言が基礎となっている。陝西省戯曲研究院の秦腔役者・呂江涛さん(24)は、「秦腔を学ぶようになって10年になる。両親が秦腔役者で、私も子供の頃から二人から大きな影響を受けてきた。秦腔は、非常にきめ細かな芸術で、非常に変化に富み流れるような節回しが特徴的。とても力強い声を必要とするのは花臉(隈取り役)だけで、西北地方の偉丈夫を表現している。その他の役、例えば、旦角(男性役)や生角(女性役)の節回しは非常に繊細だ」と話す。
秦腔の基礎の訓練は非常に厳しい。呂さんは、「子供の頃から、足を高く上げたり、ブリッジをしたり、腰をそらせたり、宙返りをしたりする練習をしていたので、転んだり、怪我をしたり、気持ちが落ち込むこともしばしばだった。でも、伝統演劇をマスターしたいなら、必ずそれらを経験しなければならない」と振り返る。
訓練は非常に厳しいものの、それを学ぶ人々は、毎日一生懸命練習に取り組む。陝西省戯曲研究院第10期育成クラスの教務科長・楊洪涛さんは、「今の時代、これほど多くの子供たちが中国の伝統文化を学びに来ているということは、秦腔にとっては、とてもうれしいことだ。早朝から正午まで、午後から夜まで、毎日予定がぎっしりつまっているが、子供たちは骨身を惜しまずに練習している。基礎の訓練から、姿勢の練習、最後の舞台練習まで、子供たちは毎日一生懸命頑張っている」と話す。
そして、「正直に言うと、秦腔を学ぶ人はどんどん減っている。しかし、この種の芸術は、受け継いでいく人が必要。これは、中華民族の伝統であり、文化だ。秦腔の精神が消滅することはあってはならない。私は選んだ以上、この道を歩み続け、秦腔の文化を受け継いでいきたい」と語った。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年8月4日