数頭のチルー(チベットカモシカ)が青蔵道路五道梁付近の野生動物通路をゆっくり歩き、数分間にわたり探りを入れると、素早く道路を横断した。それに続いて30頭以上のチルーが素早く道路を渡った。これは青海省「生態の窓」リモートネットワーク動画観測システムが先月31日にココシリ(可可西里)地区で観測した光景だ。新華社が伝えた。
ココシリのチルーは現在、移動シーズンを迎えている。ココシリ地区に位置する青蔵道路の3001-3002キロ区間は、チルーが移動するための重要なルートだ。先月25日より、ほぼ毎日チルーが青蔵道路を横断しており、その数も増え続けている。
チルーの安全な移動を保証するため、ココシリ五道梁保護ステーションのパトロール隊員は現在、日中も夜間も青蔵道路のパトロールを行っている。もしチルーの群れが道路横断を試みることを発見すれば、彼らは直ちに臨時交通規制を行う。
青海「生態の窓」リモートネットワーク動画観測システムが先月31日に観測した光景によると、40数頭のチルーが午後2時30分頃に青蔵道路を続々と横断した。五道梁地区は青蔵道路の最も通過が困難な区間の一つとされている。地理的位置、高原の気候といった要素の影響を受け、高山病になりやすい。朱志林氏は「交通規制を長く行えない。チルーの安全な移動を保証すると同時に、運転手と観光客の命の安全も保証しなければならない」と話した。
朱氏は先月15日にステーションで当直するようになってから、同僚の丁熱氏と青蔵道路を毎日12時間以上パトロールしている。臨時交通規制を行う前に、彼らはまず望遠鏡でチルーと道路の間の距離を目測し、群れが徐々に道路に近づいてから1人が車を遮る。
朱氏は「チルー、特に生まれたばかりの子供は敏感だ。チルーの走る速度は時速80キロにのぼるが、幅10メートルの青蔵道路を横断する時には、往々にしてペースを落とし何度も探りを入れる。道路を横断した後も道路から遠く離れた安全地帯に移るまで一定距離を走る」と説明した。
中国のチルー保護の専門家、陝西省動物研究所(西北絶滅危惧動物研究所)の呉暁民研究員は「10年前に観測したチルーは行ったり来たりし、2、3日試みてから青蔵道路を横断していた。現在は、チルーの群れは短ければ十数分、長ければ数時間で順調に横断する。人類は動物への保護を強化しており、動物も徐々に人類及び人工施設の存在に慣れている」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年8月5日