香港特区の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は3日「立法会議員選挙の延期は困難な決定だった。このように厳しい感染状況の中で選挙を実施するのは余りにもリスクが大きく、人命にかかわるため、選挙延期という決定以外に方法はなかった」と述べた。新華社が伝えた。
林鄭氏は同日、範徐麗泰元立法会議長を招き、立法会選挙の延期などについて話し合った。林鄭氏は「選挙管理委員会委員長が私への書簡で、数百万人の有権者が投票する見通しであり、ソーシャル・ディスタンスの確保が難しい、有権者と投票所作業員も感染のリスクに直面するなど、期日通り立法会選挙を実施した場合のリスクを詳細に列挙した」と説明。
「選挙は重要だが、現在の厳格な出入境規制措置のため、香港地区以外に滞在する数10万人の有権者は香港地区に戻って投票することが困難だ。期日通り選挙を実施した場合、こうした有権者に対して不公平だ」と指摘した。
范徐氏は、立法会選挙の延期という決定に支持を表明。「香港地区では最近新型コロナウイルスの新規感染者数が100人を超える日が続いており、多くの市民が心配している。こうした状況の中でも期日通り選挙を実施して、さらに多くの人々が新型コロナウイルスに感染した場合、誰もその責任を負えない」と指摘。
「世界を見ると、選挙を延期する国は期日通り実施する国より多い。命より政治を重視するわけにはいかない。また、選挙延期は感染状況のために投票できない有権者の権利を保障するためであり、誰の投票権も剥奪していない」と述べた。
国務院港澳(香港・マカオ)事務弁公室は先日「立法会選挙延期のために生じる立法機関の欠員問題について、全人代常務委員会は速やかに決定を行うだろう」と表明した。これについて范徐氏は「全人代常務委員会はより良く、より多くの香港市民が理解できる方法でこの問題を処理すると信じる」と述べた。
■過去半年で新型コロナのために選挙や住民投票を延期した国や地域は少なくない
3月12日にドイツの与党であるキリスト教民主同盟は、4月に予定していた党首選を感染拡大の影響を受けて延期することを発表した。
3月13日に英首相府は、5月に予定していたイングランド地方選挙を、同月が新型コロナウイルスの感染拡大期と重なる可能性があるとの政府判断により1年延期することを認めた。
3月21日にボリビア最高選挙裁判所は、5月3日に実施する予定だった全国総選挙を、感染拡大の影響を受けて延期することを発表した。最高選挙裁判所長官は「感染が拡大する厳しい時期において、すべての政治団体、政治機関、社会勢力は一致団結して感染症と闘うべきだ」と述べた。7月23日にボリビア最高選挙裁判所は総選挙を9月6日から10月18日まで再延期することを発表した。
4月20日、スリランカ選挙委員会は、新型コロナウイルス流行の影響を受けて、次期議会選挙を4月25日から6月20日まで延期することを発表した。同委員会は後に、投票日を8月5日まで延期することを発表した。
6月27日、ソマリア国家独立選挙委員会の議長は、感染拡大などの影響で、今年開催予定だった選挙は期日通り実施できず、少なくとも2021年3月まで延期することを発表した。
エチオピア全国選挙委員会も今年8月に予定していた総選挙の延期を発表。チリ各方面も4月26日に予定していた憲法改正に関する住民投票を10月まで延期することで合意した。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年8月4日