2020年全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)の期間、中国は日韓、ASEAN等周辺国との協力強化という明確なメッセージを発した。王毅国務委員兼外交部長(外相)は24日、第13期全国人民代表大会(全人代)第3回会議の記者会見で、中日韓が企業活動の再開、産業チェーンとサプライチェーンの安定化を推し進める必要性に言及し、中国は韓国及びさらに多くの国々と人的往来を円滑化し、貨物の流通を促進し、可能な条件の下で実務協力を速やかに再開し、各自及び地域の経済的循環をスムーズにしたいとした。中国新聞社が伝えた。
また、王部長は「中国はASEANとの関係をさらに進め、『一帯一路』イニシアティブとASEANのコネクティビティの連携を強化し、スマートシティ、人工知能(AI)、電子商取引等新興分野の協力を開拓するとともに、域内包括的経済連携(RCEP)の年内締結を共同で推し進める」と述べた。
ポスト感染症の時代において、中国と日韓、ASEANの協力は必要であり、その基礎もある。
国連工業開発機関(UNIDO)中国投資促進事務所の武雅斌首席代表は中国新聞社の取材に「今回の感染症によって、現有の産業チェーンとサプライチェーンが長すぎ、綿密であるという潜んだ脆弱性と不安定性が一層露呈した。一部の国の貿易・投資政策が内向化していることが、この問題の深刻性を一層激化した」と指摘。
武氏は「自らの産業チェーン・サプライチェーンの安全を守る観点から、中国は『チェーンの補強』『チェーンの安定化』『チェーンの強化』が喫緊の課題だ。つまりサプライチェーンの弱い部分を補強し、産業チェーンを安定化し、世界のバリューチェーンのおける地位を高めることだ。日韓やASEANなど周辺の主要なエコノミーと協力し、産業のアップグレード計画を実施し、国外の新素材、新技術を中国の生産能力の優位性と結び付けることは、この目標の達成に寄与する」と述べた。
中国商務部国際貿易経済協力研究院地域経済協力センターの張建平主任も「今回の感染症によって、地域内で産業チェーンとサプライチェーンの協力を強化し、地域経済の統合を加速する必要性が一層明らかになった。中国と日韓及びASEAN間の緊密な経済・貿易関係を考えれば、関係国は協力を強化して、産業チェーンとサプライチェーンの安定を確保するのが当然だ」と述べた。
王部長が述べたように、感染症の発生以来、中日韓3か国は団結・協力し、感染状況の情報、感染防止・抑制措置、出入国者の管理などの面で緊密に協力し、感染防止・抑制で力を合わせ、地域におけるウイルスの感染拡大を効果的に抑え込んできた。「中日韓の共同対策は、世界の感染症との闘いの模範となり、国際社会に自信を添えたと言える」。
中国とASEANとの協力も逆境の中成長している。中国のこれまでの貿易パートナーの中で、ASEANは感染症時にも唯一対中貿易が減らなかっただけでなく、中国最大の貿易パートナーでもあった。政府統計では、今年1~4月に中国の対ASEAN輸出は3.9%伸び、全体の15.6%を占めて、中国にとって最大の輸出市場となった。同期にASEANの対中実質投資額は前年同期比13%伸び、対中投資が縮小する中とりわけ目を引いた。
王部長が記者会見で明らかにしたところによると、今後の中国と日韓、ASEANの協力の重点はRCEPだ。
RCEPは今年6月末までに文案の審査を完了し、11月までに一部参加国間で二国間の市場参入協議、文案の審査、各自の国内手続きの履行を行う計画だ。感染は現在も続いているが、各国は予定通り年内のRCEP締結を目指すことをすでに明言している。
張氏は、RCEPが順調に締結されれば、アジア地域の貿易と投資にはさらに大きな発展の展望が開けると指摘する。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年5月25日