新エネ車の補助金新政策施行 新興勢力はテスラと戦えるか

人民網日本語版 2020年04月30日15:27

業界が待ち望んでいた新エネルギー自動車への補助金に関する新政策がこのほどついに施行され、初めて設定された補助金の支給条件は価格30万元(1元は約15.1円)までとされ、この「新エネ車価格ライン」が注目を集めている。新政策は新興自動車メーカーにどのような影響を与えるだろうか。電気自動車(EV)大手の米テスラは価格を下げて迎え撃つだろうか。中国新聞網が伝えた。

補助金新政策では、テスラを含む高級ブランドメーカーはどこも補助金を受けられなくなり、新興勢力は「ライン」設定により補助金が減少するのに備え、知恵を振り絞って消費者への影響を軽減しようとしている。たとえば小鵬汽車が27日に発表した「P7」の最新価格は、装備をオプションにすることで30万元以下を実現した。

小鵬は27日にP7を発表し、(補助金需給後の)販売価格を22万9900元から34万9900元とした。支給条件となる30万元を超えないようにするため、装備をオプションにすることでコストを削減する戦略を採用。たとえばスマートオーディオコックピットはオプションで1万8千元とし、一部車種は自動運転アシストシステム「XPILOT3.0」のソフトウェアのバージョンアップに別途3万6千元が必要とした。

業界関係者は、「小鵬だけではない。まだ新車第一弾を引き渡ししていない新興メーカーたちも、補助金の条件に合わせたタイプを打ち出す可能性がある」とみる。

新興メーカーの最大のライバルのテスラにとっても、30万元は大きな足かせになる。業界関係者の一部は、「新政策の下では補助金を交付されないテスラは、これから価格を引き下げるとかなりの確率で予想される」との見方を示す。

小鵬の何小鵬会長は、「(テスラは)中国産『モデル3』の航続距離が長いモデルを補助金政策施行後に27万7500元まで値下げする可能性が高い。そうなると、昨年に私が述べた国産テスラの価格があと1万ドル(1ドルは約106.5円)下がったらと仮定していた価格に近づく。ここまで値下げすると、これまで15万-40万元で販売していたEVにかかる競争圧力は目に見えて拡大する一方で、縮小することはない。メーカーはどこもしっかり準備しておかなければならない。しかし顧客にとっては朗報であり、市場のパイ拡大にとっても朗報だ」と述べた。

テスラは昨年、上海のギガファクトリーでメイド・イン・チャイナの「モデル3」第一弾を引渡しした際、「現時点で中国国産化率は30%にとどまり、2020年中頃に70%達成、年度末には100%達成を目指す」と明かした。そのため、「モデル3」の価格にはまだ大きな引き下げの余地があるということだ。安信証券の予測では、「米国工場製造の『モデル3』標準タイプの車単体のコストは23万元前後で、中国国産化率が向上すれば、メイド・イン・チャイナ『モデル3』のコストは10%から15%程度抑えることができる」という。

工業・情報化部(省)人材交流センターの自動車専門家の張翔氏は、「補助金新政策の施行により新興メーカーとテスラとの開きがさらに拡大するだろう。30万元を超えれば、どのメーカーも補助金を受けられない。Byton(バイトン)の新車価格は大体30万元以上で、補助金がなければ売り上げは一層落ち込むだろう。テスラが今後、30万元以下に値下げすれば、新興メーカーはテスラと戦うことになり、両者の差が一層開くことになる」と述べた。

乗用車市場情報連席会(全国乗連会)の崔東樹事務局長は、「これからテスラがさらに数を伸ばすのにともなって、他の高級車も中国市場で新エネ車のさらなる発展を目指し、高級新エネ車の激しい戦いが繰り広げられることになるだろう。30万元の支給条件を設定したのは合理的だ。まず補助の効率が向上し、主流製品に補助金が交付され、プレミアムがつく高級車への補助金は減る。同時に、新エネ車製品の価格競争力の向上、従来のガソリン車との価格システムの統一実現に向けてもプラスになる」との見方を示した。(編集KS)

「人民網日本語版」2020年4月30日

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