「海外進出」のためには一層のコンテンツ重視が必要
中国アニメは現在、海外市場で一層認められるようになっているものの、興行収入が絶好調で大人気になっている中国国内市場と比べると、そのフィードバックにはまだ一定の差がある。アニメーション映画「西遊記 ヒーロー・イズ・バック」や「紅き大魚の伝説(原題:大魚海棠)」などは、中国で記録的な興行収入となったものの、その興行収入をそのまま海外に波及させることはできなかった。また、「ナタ~魔童降臨~」は、北米市場で公開された当初、ネット上で翻訳をめぐる議論が起きたこともある。
では、どのように中国人にも、世界の人にも共感を覚えてもらえる中国アニメを作ればいいのだろうか?
中国文聯電影芸術センターの饒曙光センター長は、「中国国産アニメや映画などの文化商品は慎重に海外進出を進めなければならず、海外市場に合わせすぎて、二兎を追うものは一兎をも得ない状態は避けなければならない。つまり、中国アニメが『海外進出』に成功したいのであれば、コンテンツそのものを重視しなければならないということだ。本当に優秀なコンテンツというのは世界共通なのだから」と指摘する。
若手監督の施佳欣氏は、「ストーリーを設定する際、人に共通する感情を探すというのがカギとなる。米アニメ『リメンバー・ミー』を例にすると、ストーリーは家族との間の感情が中心。家族を大切に思う気持ちなどは世界の人々が抱いている共通の感情であるため、世界中の人が共感を覚え、中国でも人気を博した。私はそれが、作品が成功するための最も重要な要素だと思う」と語る。
鄒CEOは、 「言葉のギャグだけが売りのコメディ作品の海外進出が難しいのは、ギャグを翻訳するのは至難の業だからだ。そのような作品を、世界の人々が共鳴を覚えるようにするには、1から作り直さなければならない。『伍六七』のコメディ要素は、キャラクターに盛り込まれている。主人公の伍六七と梅花十三は、それぞれの性格に基づいて行動する。同作品は、ギャップがあり、キャラの強いキャラクターが同じシーンに登場していろんなハプニングが起き、ドラマチックなストーリーとなっている。そのため、同作品は、構造的な意味でのコメディ作品で、コメディを超えたコメディ作品。世界中で好評を博すことができる」と説明する。
そして、「現在、若いクリエーターが台頭しており、中国の短編アニメの成長が著しく、世界レベルに達している作品もある。しかし、短編アニメを長編アニメへと成長させるには、さらに多くのチームが必要で、たくさんの経験を積まなければならない。『伍六七』が積んでいる経験を他の作品にも生かし、中国の若い世代のアニメ関係者が啓発を受けることを望んでいる」と語る。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年1月23日