新海誠監督の新作アニメーション映画「天気の子」が今月1日、中国で公開された。興行収入は幸先の良いスタートを切り、ネット上でも大きな話題となりつつある。また、公開後、新海誠監督がみずから執筆した原作小説「小説 天気の子」も注目を集めている。10月2日に、中国語版の同小説が広州と上海で発売され、同月28日の時点で、発行部数が35万冊を突破。中国のECサイト・京東の青春文学売れ筋ランキングでトップに立っている。中国新聞網が報じた。
「天気の子」は、天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」する姿を描いている。同作品でも、画面はひたすら美しく、圧倒的な日本式の映像美にあふれており、新海監督のスタイルが存分に発揮されている。同作品では、思春期の少年と少女の成長を描くだけでなく、得るものと失うもの、生と死、純粋さと世故、個人の願いと社会の期待、自然の摂理に逆らうことと従うことなど、さまざまな葛藤も描いている。新海監督は繊細な人物描写と、熟練した劇的局面を描く手法を通して、小説の読者や映画の観客の思考を刺激している。
実のところ、「天気の子」は、社会の評価に対する新海監督からの反応でもある。小説版「天気の子」のあとがきで、新海監督は、新作は伝統的な意味での物語ではなく、3年前に「君の名は。」が大ヒットした後、社会の各方面から受けた評価に対して考え続けたことの反映だといった内容を記している。さらに、「映画は学校の教科書ではない。教科書の言葉、政治の言葉、報道の言葉では、絶対に言えないことを語るべきだと、あらためて思った。道徳とも教育とも違う水準で、物語を描こうと思った」と綴っている。
新海誠監督はアニメ作品「君の名は。」で中国でも広く知られるようになった。同作品は250億円以上という興行収入で、日本の映画史にその名を残した。また、その原作小説も売上部数が100万部を突破し、2016年に日本の文庫部門で最も売れた本となった。(編集KN)
「人民網日本語版」2019年11月4日