エクササイズはたった5分だが、写真撮影には2時間を費やし、定期的なジム通いを続けることはたいして重要ではない。数十種類のフィットネスアプリをダウンロードして、お腹痩せと太もも痩せを目指すダイエットプランをアプリ上で作成したら、アプリの役目はもう終わり。ブロッコリーと鶏ムネ肉、カリフラワーを美しく盛り付けてフィルターソフトを使って写真を撮るのも、微信(WeChat)のソーシャル機能「朋友圏(モーメンツ)」上で、自分がダイエットに励んでいることを証明するために過ぎない。これらの行動のうち、あなたはいくつ当てはまるだろうか?北京青年報が伝えた。
「2019年運動消費データ報告」と公開されたデータに基づいてメディアが推算したところ、かなりの数の人は、運動関連用品を買うだけで実際にはほとんど運動せず、ジムの会員カードは持っているがジムにはほぼ行っておらず、「偽りのフィットネス族」と言えるという結果が導き出された。
2019年、中国人は消費にさらに慎重になったものの、健康・フィットネス関連の予算は増加した。国際コンサルティング企業・マッキンゼーがこのほど発表した「2020年中国消費者調査報告」によると、中国人の可処分所得の伸びは鈍化したにもかかわらず、健康・フィットネス消費支出は増加している。
報告では、「健康的な生活という理念の高まり」を、消費増加における第3のすう勢とみており、都市部消費者のうち、健康・フィットネス関連支出が増加した人の割合は72%に上り、このうち、スポーツシューズとスポーツウェアは、消費支出増加トップ10商品にランクインしている。
身体の健康に対する不安とライフスタイルの転換は、より多くの中国人が健康・フィットネスにお金を注ぎ込もうとする原因となっている。中国の医学界が発表した研究報告によると、2004年から2014年までに、中国の全身肥満率は2倍以上高まり、腹部肥満の増加率は50%を上回った。肥満が原因で、中国人が直面する疾病リスクは、伝染病感染から慢性疾患へと移り変わりつつある。
このような状況にもかかわらず、ジムの会員カードを作るだけで運動しないという現象はますます普遍化しており、さらには「脳内補完フィットネス」なる新語まで誕生した。これは、「ジムの会員カードを作り、スポーツウェアなど用品を買いそろえ、毎日横になったままで、自分が滝のような汗を流して運動に励み、スリムな身体に変わっていく様子をイメージする。ただし、実際にジムに行ってトレーニングすることはないフィットネス方式」という意味だ。
このほか、健康という理念を定義することは、各ブランドの新たな切り札となっている。たとえば、栄養成分表をチェックする人が多いことに着目し、「健康」を謳ったローカロリー飲料を市場に打ち出すというのも、飽和状態の飲料市場での生き残り空間を見い出す一つの戦略といえよう。家庭用フィットネス機器もまた、その路線を歩んでいる。昨年の「ダブル11(11月11日のネット通販イベント)」期間の、ECプラットフォームが発表した運動関連消費データによると、ランニングマシンの売上は115%以上増加、ヨガマットの販売枚数は5400万枚を上回り、「フィットネス」のためにお金を使いたいと考える人々が増えつつあることが見て取れる。
しかし、これらの販売データから、4億の運動愛好家のうち1億2400万は「偽りのフィットネス族」であるという推計が導き出される。例えば、「偽りのフィットネス族」の自宅で使用されずに放置されている物のなかには、たいていランニングマシンの類がある。「家庭用エリプティカルトレーナーを買うべきか否か」を検討する際に、「やはりランニングマシンを買うべきだ」と考える人が多くいるが、その理由は「エリプティカルトレーナーを使わなくなっても、物をたくさん掛けておくことができない」ことだという。「フィットネス」願望があっても、より理性的な消費を考え、効果がない上にお金も無駄になったなどということのないよう、心掛けたいものだ。(編集KM)
「人民網日本語版」2020年1月3日