英国王立航空協会は2019年度の世界で唯一の団体金賞を嫦娥4号任務チームに授与した。中国のプロジェクトへの授賞は同協会の創立153年の歴史で初めて。中国月探査プロジェクトチーフデザイナーの呉偉仁院士が嫦娥4号任務チームの代表者を率い、招待に応じ今回の授賞式に出席した。科技日報が伝えた。
嫦娥4号探査機は2019年1月3日に、月の裏側にあるエイトケン盆地のクレーターへの着陸に成功した。2018年に打ち上げられた、地球と月の引力が釣り合うラグランジュ点(L2点)を周回する中継通信衛星「鵲橋号」のサポートを受け、嫦娥4号着陸機と月面ローバー「玉兎2号」が、それぞれ着陸エリアでの観測と巡回観測を行った。一連の重要な科学発見の成果を取得し、サイエンス誌など中国内外の学術誌に20本以上の論文を発表した。ペイロードが得たデータに基づき、チームは嫦娥4号の月の裏側での着陸を再現し、着陸エリアの位置を正確に特定した。着陸エリアの地形、構造、成分などの地質情報を取得した。かんらん石と低カルシウム輝石などの鉱物の組合せを中心とする岩を発見し、その出所について初期段階の判断を下した。これはエイトケン盆地の地質の変化、さらには月地殻の早期の変化の歴史、月深部の物質構造及び形成メカニズムなどの科学的問題を解明する上で重要な価値を持つ。また中性原子、月面中性子及び放射線量、低周波などの分野で大量のデータを取得し、初期段階の分析結果を導き出した。
嫦娥4号任務は中国国家航天局を中心に実施された。香港、マカオを含む中国の約1000に近い機関・数万人の科学者と技術者が、ドイツ、スウェーデン、オランダ、サウジアラビア、ロシア、アルゼンチンなどの国の協力チームと共に取り組み、6年をかけて開発と打ち上げを終えた。嫦娥4号任務は人類の探査機による月の裏側での初着陸、月の裏側と地球の初の中継通信を実現し、世界の月探査の歴史における新たな一里塚を築いた。夢を追い、果敢に模索し、共に取り組み、協力・ウィンウィンを実現するという中国の月探査精神を実践し、国際社会から広く称賛を浴びた。
英国王立航空協会は1866年に創設された、世界で最も長い歴史を持つ航空・宇宙分野の専門組織だ。同協会は世界の航空・宇宙分野で優れた成果を取得した団体及び個人を毎年表彰している。呉氏を始めとする嫦娥4号任務チームは、同協会と授賞委員会に謝意を表した。またより多くの国と組織が中国と共に宇宙事業国際交流・協力を展開し、人類の宇宙探査と科学の発見に共に貢献することを歓迎するとした。(編集YF)
「人民網日本語版」2019年11月27日