中国の映画の興行収入は2012年に171億元(1元は約15.1円)に達し、それから6年の間に500億元の大台を突破するまでになった。興行収入が急速に増えている背景で、中国の映画観客の消費行動や好みも変化している。新華網が報じた。
いろんなジャンルがミックスした映画が主流に
テレビのほか、インターネットなどのメディアも普及し、映画は熾烈な競争を強いられるようになっている。そのため、単一的なジャンルの映画では、観客のニーズを満たすことはできず、さまざまなジャンルのミックスが今の映画の主流になっている。
例えば、「僕はチャイナタウンの名探偵(原題:唐人街探案)」は、コメディ、アクション、探偵、サスペンスなどのジャンルがミックスされており、「モンスターハント(原題:捉妖記)」はアクション、コメディ、ファンタジーのミックス、「アベンジャーズ」シリーズは、SF、ファンタジー、アクション、冒険、コメディのミックスだ。子供向けのアニメ映画でも、「熊出没」などはコメディ、アクション、探検などの要素がミックスされている。
このようにジャンルミックスが進む中で、中国では、コメディ映画やアクション映画が近年最も人気のジャンルとなっており、ファンタジーや冒険などがそれに続いている。
洋画よりも中国国産映画が優勢に
中国国産映画と洋画は以前から熾烈な競争を繰り広げてきた。映画チケット情報プラットフォーム「猫眼」のデータによると、14‐18年の興行収入トップ10位の作品を見ると、中国国産映画が計29作品入り、その興行収入は合わせて532億7700万元に達している。一方、洋画は21作品で、興行収入は合わせて315億3100万元だ。つまり、ここ5年のデータを見ると、数の面でも興行収入の面でも、中国国産映画が洋画を上回ったということだ。興行収入が全体に占める割合は、中国国産映画が63.5%であるのに対して、洋画は36.5%だ。
洋画21作品のうち、「ダンガル きっと、つよくなる(Dangal)」がインド映画であるのを除き、他の20作品は全て米国映画だ。そのジャンルはSF、アクションがほとんどで、スタイルやテーマは単一的だ。一方、中国国産の29作品はアクション、コメディ、恋愛がメインだが、ジャンルは多種多様で、大ヒットした青春映画、サスペンス映画、ファンタジー映画などもある。
上映時期別では、特に春節映画の興収が急増中
1997年に「夢の請負人(原題:甲方乙方)」が、中国で初めて春節(旧正月)映画として公開され、その時から、中国にも上映時期という概念ができた。そして、長年の発展を経て、その概念も成熟してきており、ここ数年は、年末から年初の時期(11月末から3月初めにかけて)の重要なパートだった春節期間が切り離され、独立した上映時期とみられるようになってきた。
13年から、春節映画の興行収入は右肩上がりで増加し、13年に7億8千万元だった興行収入が19年には58億2600万元に達し、6年で約6.5倍増えた。特に17‐18年には、興行収入が70%増と激増し、春節映画の映画館観客着席率は普段を大きく上回っている。
家族が集まり一家団欒を楽しむというのが中国人の春節の過ごし方だが、今では一家そろって映画を見に行くというのが多くの人の春節のトレンドになっている。以前は、春節映画というと、コメディ映画やアクション映画がメインで、ハッピーな内容を家族が一緒に楽しく見るというのがほとんどだった。しかし、18年にはアクション巨編「紅海行動(オペレーション・レッド・シー)」が、19年にはSF大作「流浪地球(The Wandering Earth)」が春節映画として公開され、春節に上映される映画のジャンルを広げた。「流浪地球」は超本格SF大作で、その視覚効果もハイクオリティで、口コミも興行収入も非常に伸び、「中国SF映画元年」をスタートさせたと称された。 (編集KN)
「人民網日本語版」2019年8月23日