中国の第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議が5日午前に北京市の人民大会堂で開幕し、李克強総理が国務院を代表して政府活動報告を行った。2019年の中国の経済発展と開放拡大の措置に関する李総理の詳細な説明に国際社会は注目した。人民日報が伝えた。
海南自由貿易試験区の建設推進は対外開放を拡大し、経済グローバル化を積極的に後押しする中国の決意を示す重要な措置だ。写真は海南三亜海棠湾免税店内でショッピングを楽しむ人々。(新華社より)
■今年の目標
李総理は2019年の中国の経済・社会発展の主要目標として▽国内総生産(GDP)成長率6~6.5%▽都市部の新規雇用者数1100万人以上、都市部の調査失業率5.5%前後、都市部の登録失業率4.5%以内▽消費者物価指数の上げ幅3%前後▽国際収支の基本的均衡、輸出入を安定させつつ質的に向上▽マクロレバレッジ比率の基本的安定、金融・財政リスクの効果的な防止・コントロール▽農村貧困人口が1000万人以上減少、住民所得の伸びと経済成長の基本的同調▽生態環境を一層改善、単位GDPエネルギー消費量を3%前後低減、主要汚染物質の排出量を引き続き削減――を挙げた。
■今年の取り組みの重点
政府活動報告の挙げた10大任務には、経済発展を支える具体的措置が少なくない。減税及び料金負担の削減面では、製造業などの業種の付加価値税率を現行の16%から13%に引き下げる。法人税及び社会保険料負担を年間で2兆元弱軽減する。市場参加者の活力を引き出す面では、市場参入のネガティブリストをさらに減らし、「禁止対象でなければ即参入」の完全な実行を進める。企業経営許可に関わる全ての事項に対して「営業許可証・経営許可証分離」改革を実施し、企業がより迅速かつ手軽に営業許可証を取得し、できるだけ早く正常な運営を開始できるようにする。金融分野では金融サポート制度を改革・整備し、科学技術・イノベーションボードの「科創板」を新設して登録制の試行を実施し、多層的な資本市場の健全で安定した発展を促進する。投資分野では、効果的な投資を合理的に拡大する。国家発展戦略をしっかりと押さえ、重点プロジェクトの実施を加速する。鉄道投資8000億元、道路・水運投資1兆8000億元を達成し、重要な水利プロジェクトを着工し、川蔵(四川―チベット)鉄道計画の建設を加速する。今年の中央政府の投資予算は5776億元(前年比400億元増)とする。
青島前湾保税港区で輸入車を検査する職員(撮影:張進剛/人民図片)
■開放拡大を継続
政府活動報告は経済発展措置以外に、開放拡大の措置も強調した。包括的対外開放を推進し、国際経済協力と競争の新たな優位性を培う。さらに開放分野を拡大し、開放の布陣を優れたものにし、引き続き「商品・要素移動的開放」を推進し、ルールなど「制度的開放」を一層重視し、高水準の開放によって改革の全面的深化を先導する。
李総理は▽貿易の安定を保ったうえでの質的向上を促進する▽輸出市場の多元化を後押しする▽輸出信用保険の対象範囲を拡大する▽クロスボーダーECなど新業態への支援政策を改革・整備する▽サービス貿易の革新的発展を後押しし、加工貿易を構造転換と高度化、中・西部への移転へと誘導し、総合保税区の役割をしっかりと発揮させる▽輸入構造を優れたものに変え、輸入を積極的に拡大する▽第2回中国国際輸入博覧会を成功させる▽通関の円滑化水準の向上を加速する――方針を表明した。
外資誘致の取り組みも強化する。市場参入条件を一層緩和し、外資参入のネガティブリストを減らし、さらに多くの分野で外資単独経営を許可する。金融業などで改革開放措置を実行し、債券市場開放政策を整える。国際的に通用する経済・貿易ルールと整合性を持たせる作業を加速し、政策の透明性と執行の一貫性を高め、国内企業と外資系企業が平等に扱され、公平な競争の行われる公正な市場環境を築く。外資系企業の合法的権益の保護を強化する。自由貿易試験区にさらに大きな改革・革新の自主権を与え、上海自由貿易試験区に新区域を増設し、海南自由貿易試験区の建設を推進し、中国の特色ある自由貿易港の建設を模索する。国家級経済技術開発区・ハイテク産業開発区・新区が自由貿易試験区関連の改革を試行し、波及・牽引効果を強め、改革開放の新高地を築くことを支持する。中国の投資環境がさらに良くなっていき、各国企業が中国での発展のチャンスをさらに多く得ていくことは確実だ。
2018年11月に上海で開催された第1回中国国際輸入博覧会の全体の成約見込み額は578億3000万ドルに達した。写真はペルシャ絨毯の説明をするイランの出展者(左)(新華社より)
「一帯一路」共同建設の推進も重要だ。「共に話し合い、共に建設し、共に分かち合う」原則を堅持し、市場原則と国際的に通用するルールに従い、企業に主体的役割を発揮させ、インフラの相互連結を推進し、国際生産エネルギー協力を強化し、第三国市場協力を拡大する。第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムを成功させる。対外投資協力の健全で秩序ある発展を後押しする。
李総理は政府活動報告で「貿易と投資の自由化及び円滑化を促進する。中国は経済のグローバル化と自由貿易を断固として守り、世界貿易機関(WTO)改革に積極的に関与する。高水準の自由貿易圏網の構築を加速し、域内包括的経済連携(RCEP)、中日韓自由貿易協定(FTA)、中国EU投資協定の交渉を推進し、引き続き中米経済貿易協議を進める。中国は互恵協力、ウィンウィンの発展を堅持し、対等な協議を通じた貿易紛争の解決を一貫して主張している。中国は約束を真摯に履行し、自らの合法的権益を断固として守る」とも表明した。(編集NA)
「人民網日本語版」2019年3月6日