人民元の米ドルに対するレートは、幾重にも折り重なった外部要因の影響により、1月9日から3取引日連続で大幅に上昇を続けている。業界の専門家は、「ここ数ヶ月にわたって人民元が直面してきた値下げ圧力が緩和されている。今後の市場には双方向の変動がみられるだろう」と予想する。
データによると、11日の元の対ドルレート基準値は1ドル6.7909元(1元は約16.1円)となり、8日の6.8402元から累計0.72%上昇した。。
米ホライズンファイナンシャル社のチーフエコノミスト陳凱豊氏は、「米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースが予想を下回る可能性があること、ドル全体の下落、米国の経済成長に対する市場の懸念といった要因により、最近は元の対ドルレートが上昇している」と指摘する。
FRBのジェローム・パウエル議長はさまざまな場面で利上げに辛抱強い姿勢を示し、FRBの「ハト派」に対する市場の予想を強化し、米ドル指数(ドルインデックス)を全体的に低下させた。データをみると、米ドル指数は1月2日の最高値96.9580から低下して11日の取引終盤には95.6708となり、累計1.33%低下した。
一方で、米国政府の活性化措置の効果が低下し、金融政策と財政政策にみられる不確定性や貿易摩擦の影響が顕在化するのにともない、経済関係者の間で、「2019年の米国の経済成長率は大幅に鈍化する」との見方が広がった。米連邦政府閉鎖は一部でまだ続いており、このことも米国経済の見通しに対する市場の懸念を増大させた。
陳氏は、「世界のリスク資産と各国の株式市場が全体として上昇傾向にあり、債券の収益率が低下しており、新興市場の通貨である元がリスク資産の上昇にともなって値上がりするのは理解できる」と述べる。
中国銀行ニューヨーク支店の金融市場部門責任者は取材に答える中で、今後の市場における人民元レートの動きの見通しについて、「現在の中国経済は構造調整に直面すると同時に、各種マクロ調整政策が実施されるのにともなって、短期的には元レートが双方向に変動する可能性がある。19年の元レートの動きは主に中米経済貿易協議の進展状況、中国経済の基本的側面、米国や欧州などの主要エコノミーの状況といったさまざまな要因が積み重なった影響を受け、市場は元レート決定メカニズムでより大きな役割を果たすようになる」と述べた。
陳氏は、「昨年は元安圧力が強かったが、現在の強い上昇傾向から考えて、2019年に元安圧力は一段落するだろう」と話す。
デンマークのダンスケ銀行のアナリストは、「元レートの動きをみると反転上昇しており、元安圧力はすでに適度な上昇トレンドに転換した」との見方を示す。
ウォッチャーの間では、「中国の改革開放のプロセスが深まり続け、中国金融市場の開放が緩やかに進み、国際金融システムにおける中国の地位がますます上昇するのにともない、未来の投資家の人民元を保有したいという意欲はより一層高まることになる」との見方が一般的だ。(編集KS)
「人民網日本語版」2019年1月14日
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